「ただでさえ、売れない本なのに!」

見ず知らずの人の、こんな言葉にムッともしたのだが、

(あ、ちなみにこの言葉は後に、これを書いたご本人が
 「数が売れない本なのに!」と訂正されてましたが、
 同じことだよなあ)


それよりも、違う部分でちょい深く考えさせられた。

このコメントをつけてくれた人は、
おそらく、山形でなにか出版社を経営しているか、
出版取次の仕事をしているか、その周辺にいるか、
といった立場の人だと思うのだが、

なんというか、この、出版流通業界にいる人の
かたくなさは、いったいどうしたものだろう。

訪れる人の少ない私のブログに数少ないコメントをつけてくれた中の
たった一人の、この人を基準に考えてはいけないのかもしれないが、
しかし、

「ああ、これが、出版流通の現状なんだな…」
と思わせるものがあった。

今の出版の状況では、取次を通さないということは考えられないのだ。

たしかに、書店で現物の本を手に取ったうえで買うのと、
ネット上で表紙の画像と数行の紹介文を読んだだけで買うのとでは、
前者のほうが圧倒的に有利だ。

しかも、ネット書店でさえ、大きなところは
取次を通さなければ、本を売ってくれない。

私も、山形の地元取次に頼み込むことは、
この時点でも、まだ考えの片隅にありはしたが、
大きな取次会社と契約して、全国の書店やAmazonで売ってもらうことは
完全にあきらめていた。

その代わり、ネット上でなにか新しいやり方はできないものか
と考えていたのだ。

そのための「味ばなし」の軽装版だ。

しかし、取次を通すことを大前提で考えている人にしてみれば、
そんな私の考えていることは、まったくばかばかしい、
頭の足りない子供のすることとしか思えないのだ。

だからこその「そんな安い本を作っても取次は扱ってくれない」
というコメントなのだろう。

たしかに取次を通そうとしたら、そのとおりだし、
コメントを読む限り、私の思惑は、

「新書って、安くていっぱい出てるじゃ~ん?
 あんな風にして出したら売れるんじゃないの~?」


というど素人のお気楽なアホ話と受け取られているようだ。

しかし、あいにくと私は出版流通に関しては素人かもしれないが、
出版制作ではプロなんである。

この道20年なんである。(長っ)

本がどれくらいで印刷・製本できるか、手間がどれくらいかくらいは
先刻ご承知だ。ふーーん。

「新書版で」と書いたのも、
「新書くらいの版型で」の意味だ。
各大手出版社から出ている新書というのが、
シリーズもので、だからこそ売れているということ、
かつて単行本で出したものを新書のシリーズに組み入れることで、
値段を下げ、部数を多く刷ってランニングコストを下げていること、
そのくらいのことは分かってる。

でも、コメントをつけた人は、
それらの私が分かっていることには耳を貸してくれない。
それはなぜかというと、「取次」という大前提から
頭が離れないからではないだろうか。

以前に私が失礼な電話をかけた「地方・小出版」のHPの掲示板でも、

「本を市場に流通させる手段が分かりません。
 どのような手順を踏むのでしょうか?
 また、なにか届け出が必要なのでしょうか?」

という質問をしてきた自費出版をしたい人に、掲示板の管理人は

「今の書店では個人の自費出版物はほとんど扱ってくれません。
 一般的な取次店(トーハン、日販など)は、
 なおさらハードルが高くまず無理です。」


と突き放した答えしかしていない。

私が、今回本を売るにあたってさまざまな知識を得た
「38万円で本ができた」という本でも、

「本を売るのは、取次口座を持つ出版社に頼みましょう」

としか書いていない。



書店や取次で扱ってくれないなら、他の方法はないのか。
そんなことは考えることもばかばかしい、
といった雰囲気みたいなのだ。

従来とは違う方法で本を売ることを考えてはいかんのか、
模索してはいかんのか。

…………

そうなんだろうなあ。多分。

今までのやり方で、取次に頭を下げ、書店に営業をかけ、
私がやろうと思わない、いろんな苦労をして
本を作り、売ってきた人たちにしてみれば、

「本を売るなら、俺らと同じ苦労をしろよ、お前もよ。」

と、こういう気持ちなんではないのだろうか。
イヤな言い方をすれば、だけどさ。

まあ、どこの業界にもこういうことは多かれ少なかれあるんだろうと思う。
ライブドアや楽天の社長が苦労してるようにね。<一緒にするな

前から再三言っているように、私は天邪鬼である。
ダメだと言われると、やってみたくなる。
ここへきて、地方の取次に話を持っていくことも
きっぱりあきらめた。

「稀人舎」は取次を通さない方法で、なんとかやってやる!
と、こぶしを握り締める10月の私であった。

で、できるのか、ほんとに。どうやって!?
五里霧中。


つづく

さまざまな手配は一段落して、本を売るための手段は整った。

さて、ではどうやったら売れるのか。
どうやったら、見ず知らずの人たちが買ってくれるのか。


さらに、妄想(暴走)を始めたマイ出版社「稀人舎」が成功するためには
どうしたらいいのか。

少し落ち着いて考える余裕ができた。

今売ろうと思っている父の本「飲んだくれてふる里」という本は、
父が自分の生きているうちで作る最後の本だ、と言っていた。
そのせいだと思うが、内容がなんとも詰め込みすぎな感じで、
とりとめがない。

「もうこれで最後なのだから、悔いのないように」という
父の気持ちは分からないでもないが、
全体を通して、いったいなんのことが書いてある本なのか
よく分からないのだ。
ただのエッセイ集とはいえ、テーマが絞られていない本は、
読んでいてつらいものがある。

これが、有名人のエッセイ集ならば、
読者はその有名人の日々考えていることを知るだけで満足なのだから、
テーマなどなくとも、その人が書きたいことをただ書いても
それだけで、本を読むファンはおもしろがってくれる。
でも、売れる本は、なにかしらテーマがあるよね。
有名人のエッセイ集でもさ。

でもって、
父は、ど田舎のただのしょぼくれたじじいである。
こんなじじいが何を考えているのかなんて、
誰も知りたくもないし、知ったところでおもしろくもないのだ。

その点、以前に出して1000部完売した「ふる里つるおか味ばなし」
テーマが「鶴岡の食べ物」に絞ってあったので、
誰にでも読みやすかったのだと思う。

「味ばなし」の方は、1000部完売したのち、
発行から10年がたとうとしている今になっても
在庫はないのかと、たまに問い合わせがあるそうだ。

ふーむ……
この「味ばなし」を軽装版にして再版したらどうか。

ふとした思い付きだったが、かなりいいセン行ってるような気がした。

父は、自分の本の最後に、よその本などからちょっとした
小話や格言のような文を引用するのが好きだ。
自分の読書量を知らしめたいのか、知識をひけらかしたいのか
よくわからないが(多分そうだろう)、

はっきり言ってその部分はおもしろくない。

その、おもしろくない部分をとっぱらって、
おもしろそうな、本来の「つるおか味ばなし」の部分だけを載せるのだ。

新書版くらいの大きさと厚さで、
カバーも帯もつけず、表紙も1色刷り。160ページくらい。
ちょうど、市販の新書のカバーを取ったような体裁で。
これなら、印刷・製本代もさほどかからないのではないか。

600円くらいで売れないものだろうか。

そして、私の頭をよぎったのは、
この本が売れるようだったら、

今ある売れ残りの「飲んだくれてふる里」と抱き合わせで売れないか、

という悪魔のささやきだった。

1600円の本と600円の本、合わせて2000円。
……いや、1800円でもいいや。
1600円にプラス200円で、
かつて(鶴岡市内だけでだが)ベストセラーだった、
しかも今は絶版になっている本が読めるのである。

どう? どうよ?これ。この思い付き。

かなりいけるのでは、と思った私は、
10月16日、ブログに
「ちょっとした思い付きをメモ」というタイトルで、

「かつて1000部売れた「味ばなし」を新書版で出すのこと。
 600円くらい?
 「あの幻のベストセラー、新書版で再登場!」とか? 要検討 」


などと書き込んだ。能天気に。

すると、それに対するコメントがついた。
以前も何度かコメントしてくれていた人だった。

「版型で値段は決まりませんよ。
 新書・文庫が安いのはランニングコストがいいからです。
 紙代・製本代なんて知れてますよ」


いや、あの、ランニングコストとかは置いておいて、
こんな本、600円くらいなら売れないかなーという
思い付きなんですよ~

という、私の返事に、さらに同じ人のコメントがついた。

「たぶん安い本を作ったら地元取次にも相手されないでしょう。
 だって取次会社が1冊売っても儲けは少ないから。
 ただでさえ、売れない本なのに!」


それまで調子に乗って、ブログに自分の馬鹿な失敗談などを書いていた
私の手は、ここにきて、はたと止まってしまったのだった。


つづく

10月24日
「稀人舎」のゴム印を作ろうと、思い立つ。
近所のゴム印屋さんに、イラストレータで作ったデータを持ち込んだ。


10月25日
頼んでおいた、帯とバーコードのシールが届く。


10月26日
「稀人舎」のゴム印、完成。3,045円也。


10月27日
郵便振替用紙が届く。
口座番号と「稀人舎」の名前を印刷してもらったやつ。
200枚。

そこはかとなく嬉しい。


10月28日
帯とバーコードの印刷をしてくれた印刷屋さんの人に
「この本、欲しいって言ってる人がいるんだけど…」と、言われる。
帯を作ってくれた製版屋さんのおっちゃんらしい。

「うわー! ありがとうございますー」と、舞い上がって、
「ちょうど振替用紙も届いたんですよー」と、
1600円也、の振替用紙と一緒に渡す。

売り上げ第一号だー! と喜んだが、

後で落ち着いて考えてみれば、ただであげればよかった。
帯作ってくれた、いわばスタッフなんだもの…
つい、嬉しくてさー

本を持っていってくれた印刷屋さんの人にメールした。
「本は進呈します。もし万が一おもしろかったら宣伝して、
 と伝えてください」と……

で、こんな風に急に「本が欲しい」と言われてもあわてないように、
郵便振替用紙やなんかも準備できたのだし、
10冊ほどの本を、注文があったらすぐに出せるようにした。

帯をつけかえて、バーコードのシールを貼り、
修正した奥付をシールにプリントして貼り、
正誤表をプリントしてはさむ。
ついでに、振替用紙も10枚ほどに金額と、
通信欄に「「飲んだくれてふる里」代金」と書き込む。

注文、カモーン! どっからでもかかってきなさーい。

というわけで、これまで検索ロボットに引っかからないように
メタタグ打ってた販売用HPを解禁。
「山形、鶴岡、庄内、藤沢周平、海坂藩、、、、」と、
節操なく、関係ありそうなキーワードすべてメタタグに打ち込みました。
だれか引っかかってくれるだろうか……


10月30日
Googleのロボットって、どれくらいの頻度で回ってるんだろう。
おとといメタタグを「all」に変えて検索されるようにしたんだけど、
まだ、検索できない……
したがって、まだ誰も来ない……


10月31日
検索は、「これを調べよう!」とか「知りたい!」とか
思ってくれないと意味がない。
偶然、うちの販売サイトにたどり着いて、
それで本を買ってくれる人の確率なんて、
天文学的数字でしか表せないだろう。

「こんな本を売っているよ」ということを
どこかで宣伝しなければならない。

まず、mixiの「鶴岡コミュ」にでも書き込むかな。
宣伝は不可かな。

ああ、ちょっとめんどくさくなってきた。

Googleからまだ検索できないことも、ちょっとやる気をそいでいる。

口座の手配はどうにかなった。
書籍出版の「データベース」の訂正も無事終わり、
あとは、帯とバーコードの印刷があがってくるのと、
振替口座の払い込み用紙が届くのを待つだけだ。

あーとーはー……

おう、そうだ!
注文された本を発送する時の発送方法だ。

いろいろ調べてみると、「冊子小包」つうのが安い。
封筒に小さな窓が開いていて、中の本がちょびっと見えるようになってる
アレですよ。

で、あの窓の開いている封筒っつうか梱包材っつうかは、
どこに売ってるですかね。
厚紙でできてる封筒みたいなやつ。

「アスクル」のカタログを見てもない。
「冊子小包」「梱包材」でググッてみても出てこない。

うう~ん。またしても謎が…

で、郵便局に行ったときに聞いてみました。

「冊子小包を送るときの窓の開いた厚紙でできてる封筒みたいなのって
 郵便局で売ってないんですか?」
「あー、みなさん冊子小包を送るときはパッキンの入った
 封筒とかお使いですねえ」
「つうことは、別に決まりがあるわけじゃなくて、
 何でもいい、ということですか?」
「中が確認できる窓が開いていれば、特にこれといった決まりはないです」

はあ、そうですか。わかりました。

「アスクル」のカタログを見ると、
パッキンの入った封筒は、サイズも豊富に揃っていろいろある。
その中から、本のサイズに合いそうなのを1種類、注文してみた。

すぐに届いたその封筒は、ちょっとサイズが小さかった。
本はぎりぎり入るんだけど、ちょっと乱暴に引っ張り出そうとすると
帯がぐしゃってしまいそうだ。ううーん。

さらに「アスクル」のカタログをめくる。

するってえと…

どおして最初に見たときにこれを見つけられないのかっ私はっ!
という、パッキンつきの封筒が別コーナーにあるではないか。

郵便番号欄つき。パッキンと封筒がばらばらになるエコ仕様。
最初の失敗を教訓にして、慎重にサイズを見て決める。

ついでに、奥付を付け直すためのシールを探す。
少し厚手の、下の印刷が透けないのがいいなあ、と思っていたら!
なんと!「下地がかくせるタイプ」つうのがあるではないか!

世の中便利なものがあるものじゃのう…

さっそく注文。

今度の封筒には、
「冊子を郵送する場合は、点線部分を切り取ってください。」たらいう
切り取り線までご丁寧にも入っていて、
「わしが求めていたのはこれじゃよ~~~」という感じ。

どうして最初からこれにたどり着かないんでしょうか。
こんなことばっかしだよ。

「下地がかくせるシール」は、
紙の色がちょっとグレーっぽい感じがするけど、まあしょうがない。
以前の奥付の印刷が完全に隠れるので、これでよしとしよう。
ノーカットタイプだから、いちいち自分でカットしないといけないけどな。
ま、でもこれも、自分の好きな大きさにできるから、いいか。

これで、とりあえず、自分ができる準備は完了か?
あとは、いろいろ発注したものが届くのを待ってからまた考えよう。

長かったようで短い2ヶ月間。
この先がもっと長くて大変なんだということは分かっている。(つもり)
でも、ちょっと一段落だ。ふい~~


つづく

10月17日
貯金事務センターというところから、
「郵貯インターネットホームサービス利用者票」が届く。
さっそくログイン。
くほほ。まだ0円。なんか、かわいい。


10月19日
やはり、貯金事務センターから
「別名登記」というハガキが届く。

「このたび、別名登記・お届出になりました別名のみ表記につきましては、
 承認しましたから御通知いたします。」

だってさ。わーい。

さっそく郵便局に行って、
別名表記で「加入者名」の欄に「稀人舎」と入れた
払い込み用紙を注文する。「口座番号」も入れてもらう。200枚。

用紙に必要事項を書いて、窓口のお姉さんに渡す。
「用紙は、そちらの住所に直接送られてきますから」とのこと。

わっかりました~!

………あれ?
記入サービスは1件につき100円。1枚ごとに1円。
て書いてなかったっけ? 300円はいつ払うんですか?

またなんかアホなこと聞いてんのか私?って気がしながら聞いてみると。
「あ、それは口座から落とされますから」
と、お姉さんはにこやかに教えてくれた。

今度こそ、わっかりました~~!

と、郵便局を出て、昼飯を食い、
ついでに本屋に行って立ち読みなどしている間に、ふと気づいた。

口座の残高0円だよっ!

あわてて郵便局へ取って返し、
5000円を「本人払い込み」つうので口座に入れてもらう。
「本人」だと手数料がいらないのね。ふーん。

で、「郵便振替受付票・払込金受領証」ってのを受け取って、
ふんふんと眺めながら郵便局を出ようとして、気づいた。

「受入先氏名」のところが「稀人会」になってる!

「会」じゃなくて「舎」だよっ!! うわーん
と、窓口のお兄さんに詰め寄ると、

「いや、これは自動的に印字されるもので、ボクが間違ったんじゃないよ」
てなことを言う。

ええ~~じゃあ誰が間違えてるのさっ!

こっちのハガキには「別名「稀人舎」を承認します」って
ちゃんと書いてあるよっっ

お兄さんが台帳をめくって調べてくれると、
台帳にもちゃんと「稀人舎」となっている。

「おおおおお待ちくださいっ」と、
あわてて電話をかけ始めるお兄さん。

今回のは、私のミスや無知によるアホではないとはいえ、
トラブルが絶えないなあ……
窓口前でため息をつく私に、
以前、別名表記のことでいろいろ問い合わせてくれたお姉さんが
「すみませんねえ」とあやまってくれた。

「いえいえ、こちらこそ、なんだか次々と面倒なお願いをして……」
「いえいえ、今回のは完全にこちらのセンターの手違いだと思いますので」
「なんだか、すみません」
「いえいえ、すみません」

郵便局、アットホームでいいんだけど。
私はとっても助かったんだけどっ

効率悪すぎ。

いやいや、その効率が悪いことをやってくれたから、
私は助かったんだけど、けどけど、大丈夫か?郵便局……

窓口の方々がとても親切だっただけに心配になる私であった。

結局、「稀人会」はセンターの人の入力ミスだったということで、
すぐに「稀人舎」と直してくれる、とのことだった。
でも、今回もらった受領証はこのままで、とのこと。
ちょっと、貴重なものになるかもしれない「稀人会」の受領証。

で、家に戻ってさっそく父に電話。
「この間の、帯とシールの印刷代、あの口座に振り込んでください。
 名義は「稀人舎」で届くはずだから」
「そうか、じゃあ5万円でも振り込んでおくか」
おお! ぜひともお願いしますっ!
当面の我が社の資金だ。

設立資金 5万円。くふふ


つづく

10月11日
振替口座も開設されたことだし、
いよいよ「データベース日本書籍総目録」に登録。

本ごとに「発売所」が書き込めるようになってたので、
その項目に「稀人舎」と入れる。くふふ。


で、10月12日
登録が反映されたかな~と「Books.or.jp」から検索してみて、
ああ……

失敗してました。

「出版社」の項目には、父の名前の後に(稀人舎)と表示されている。

いいじゃんいいじゃん。

しかし! そこをクリックして「出版社情報」を見てみるてえと…
「道のり・その17」にも書いたが、

そこには実家のある山形の住所と、私のところの東京の電話番号が!

だめじゃん。

そしてもうひとつ。

本の値段が、間違ってました……がっくり。

この本は税込みで1,600円のつもりで、
ISBNと一緒に「¥1524E」とコードも入れてある。
本体価格は1,524円ということですよ。
「データベース」の登録フォームには、
本体価格を入れなければならなかったのだが、
アホな私は税込みの「1600」と打ち込んでしまっていたのだ。
なので、「税込価格1680円」と表示されてしまいましたよ。

ああ…

住所はまだいいとしても、値段は訂正しなければならないっ

またしても、恥を忍んで電話しました。
登録内容の訂正もフォームからかメールで
できるようにしてくれればいいのに。

今ひとつデジタル化が徹底されていない
「日本書籍出版協会」なのであった。

ところで、「Books.or.jp」から検索して父の本の情報が表示されると、
その下に

「この本は、以下のオンライン書店でもご購入いただけます。
 書店バナーをクリックしてください。」

と、8個のバナーが並んでいる。

「紀伊国屋書店」「boople」「amazon」「e-hon」
「ジュンク堂書店」「セブンアンドワイ」
「クロネコヤマトのブックサービス」「楽天」

ためしにそれぞれクリックしてみると。
まあ思ったとおり、ほとんどは「お探しの本は検索されませんでした」
とかになるのだが、ひとつだけ「クロネコヤマト」だけは表示される。

「この書籍の情報は日本書籍出版協会(書協)のデータベースによる
 もので、入手が可能な書籍とされています。但し、品切の場合もあり
 ますので、予めご了承ください。」

との但し書き付きだが、
これは、どう考えればいいのだろうか。

バナーが並んでいる8個のサイトは、ネット書店である。
ネット書店てのは、取次と契約がないと扱ってくれないはず。
とすると、どうなる?

実際にここから本を注文してみればいいのかもしれないが、
どうせ、登録内容の訂正で電話をしなければならないのなら、
恥の上塗りで聞いてしまえ~

「あの~取次を通してない本というのは、
 ここからは買えないということですよねえ。
 この場合はクロネコヤマトさんから
 もし万が一注文されたお客さんがいたとしても、
 品切れ、とかいうことになるってことでしょうか……
 素人なもんですみませんすみません」

電話口のお兄さんは、多少面倒そうではあったけど、答えてくれた。
「それは、書店さん次第ですねえ。
 扱ってません、と言って断るところもあるかもしれませんし、
 取次さんを通さずに出版社さんに直接連絡して取り寄せるところも
 あるかもしれません。」

おおう!
じゃあ、もしかしたらこっからうちに注文がくるかもしれないんですねっ

他にも調べてみたら、「丸善」のネット販売でも
同じように父の本も検索できましたよ。
ここもそういうことか…どういうことか…

いや、実際に自分で注文してみれば謎は解けるんですが、
ちょっと怖くてまだできません。へたれな私です。
誰か「クロネコヤマト」か「丸善」さんから注文してみてください~
(11月2日現在)


つづく


ところで、以前に始めたはいいが、
動作が重くてほったらかしになっていた
ブログをどうしようかと、ずっと気にかかっていた。

ときどき、読書記録なんかをアップしていたが、
やはり重くて使いづらい。

それに、急に欲が出て妄想を始めた「マイ出版社」のことがある。

ここにたどり着くまで、すんごい数の間違い、勘違い、馬鹿をやってきた。

この先「稀人舎」がどうなるかは神のみぞ知る、といったところだが、
出版流通に関してはど素人のおばさんが、
自力で自費出版本をネット販売するまで、なんつうブログがあったら
結構、おもしろいんでないだろうか。

それに、取次や既存の出版社を通さずに本を作って売りたい人は
たくさんいるみたいだから、
そんな人たちは興味を持って読んでくれるんではないか、
なんていう気がしてきた。

よっしゃ、仕切り直しじゃ~!

今度はエキサイトブログにしてみた。
なんでかっていうと、ずいぶん前に作ったまま
忘れていたIDがあったから。(またこんなだよ。よく考えろよ…)

動作はヤフーに比べればものすごく軽い。
スキン(テンプレート)の種類も多い。
機能的に多少の不満はあったけど、
ま、とりあえずここでやってみようと、今度は

「マイ出版社への道のり」と、ストレートにタイトルをつけた。


10月8日

そもそも、なんで私が自分で本を売る羽目になったか、というところから
なるべく事細かに、そして、今から思えば顔から火を噴くような
間違いをしでかしてたことも、書いていこうと思った。

10月の8~10日は連休だったこともあり、
ブログの機能を確かめつつ、「出版社への道のり」と題して
4つの記事を投稿した。

父が自費出版で何冊かの本を作り、
その最後に作った本が売れ残っていることから始まり、
東京にある自費出版専門の会社から
電話がかかってくるまでの経緯を
まあ、多少の誇張も交えつつおもしろく読めるように書いた。(つもり)

前のヤフーブログのときは、真面目に活用しようと思ってなかったので、
ブログの機能をちゃんと勉強してなかった。
今回はもうちょっと活用できたらなあ、という気になったのだが、
いかんせん、よく分からない。

「トラックバック」「ping」「ブログランキング」???

検索して調べても断片的にしかわからない。
観念して本を一冊買ってきた。

「ブログ成功バイブル」という本。



ブログを活用して成功した人たちのいろんな事例が載っている。
「トラックバック」「ping」「ブログランキング」に関しては、
まあ、なんとなく分かった。(気がした)

エキサイトブログには、チェックするだけで送信してくれる
「ping」がいくつか最初から設定されているし、
「トラックバック」は、今のところ「トラックバック」したいサイトが
ないから、活用のしようがない。

「ブログランキング」は2箇所ほど登録してみた。

そして、その本の中に、「アフィリエイトで稼ぐ」という事例があった。

キラーン!

「アフィリエイト」聞いたことがあるぞ。
ブログでもやれるのか。
せっかくなら小遣い程度でも収入があるならやりたいっ
しかしっ

エキサイトブログはアフィリエイト禁止であった……

ブログによって違うのね。
ちゃんと調べてから始めればよかった。がっくり。(これだよ…)

なにごとも、調べる前に突っ走る、私のそんな性格がまた出たよ。
この性格のせいで、「マイ出版社構想」も間違いだらけで
突っ走ってるっつうか、うろうろしっぱなしなんですけどね。

ブログを引越しするかどうか軽く悩む。

まあそれでも、14日までの間に「道のり・その9」までを投稿し、
ぽつぽつ反応もあって、楽しくなってきたのであった。


つづく

9月30日

いろいろと問題は山積みのままだったが、
振替口座の番号だけは決まったし、
本の販売用のHPもとりあえず作ったので、
「データベース日本書籍総目録」の
「電子媒体登録申込み」フォームだけは送信してみた。


週があけて10月4日

「データベース日本書籍総目録」WEB入稿」という件名のメールが
帰ってきて、それには「データベース」のWEB入稿用のURLと、
そこにログインするためのID、パスワードが記載されていた。

まず、ひとつ仕事クリア。

実際に「データベース」に登録するのは、
振替口座がちゃんと開設されてからにしよう。


で、10月11日

前回郵便局に行ってから1週間後。

今度は本の奥付の「販売 稀人舎」の後に
「代表 私の本名(口座の名義)」の1行を追加したものを
貼っ付けた本の見本を持って行った。

窓口で応対してくれたのは、この間とは違うお姉さんだった。

私が「振替口座の別名ってのを届出したいんですけど~」と言うと、
「え? 別名の届出は口座開設のときじゃないと、できないんですよ」と。

えええ~~~!! 話が違うじゃーーん!

「あのあのあの、でもでも、あの」
この間のお姉さんと今度のお姉さん、
どっちが正しいのか分からない私はしどろもどろだ。

私のうろたえぶりを見て、
お姉さんはカウンターの後ろにいたお兄さんとなにやら相談を始めた。

しばらく後、お姉さんは1枚の紙を持って窓口に戻ってきた。
「申し訳ありません。別名の届出は今からでもできます。」

ああよかった。

お姉さんの持ってきてくれた用紙に必要事項を書き込む。

「この「稀人舎」っていうのは、どういう……?」

えーと…

持ってきた本を開いて奥付を見せつつ、1週間前と同じ説明をする。

恥ずかしい……

また本のカバーと奥付のコピーを取られて、
「センターで審査して別名表記が認められれば、通知が行きますから」

はあ、また待ちですか。分かりました。

でも、口座自体の開設はされているそうで、
「ホームサービス」の登録申し込みは受け付けてくれた。よっしゃ。


10月14日
帯とバーコードシールの入稿データを印刷屋さんに渡す。
「10月中に納品してもらえれば充分です~」と言っておく。
来週末にはできると思うよ、とのこと。

販売用のHPは、なにかの言葉に引っかかって
検索サイトから誰かがやってこないように、念のため、
メタタグを打って検索ロボットに検索されないようにしておく。
まさかと思うが、今注文が来ても、帯もないし、払い込み用紙もない。

本のお金の払い込み方法は、注文を受けた後、
本と一緒に払い込み用紙を送り、
後払いで郵便局から払ってもらうようにしようと思う。

これも、自分がネットで買い物をするときのことを考えてなのだが、
「後払い」のシステムだと、ちょっと安心、という気がするからだ。

セキュリティがどうなっているのか不安ということもあって、
クレジットカードの番号などはあまりあちこちに書き込みたくないし、
なにより1回限りに買い物なのに、いちいち登録とかはしたくない。

それに、どうしても仕事や生活に必要なものならば、
前払いにして、入金が確認された時点で品物の発送をします、
と言われても、しょうがないかな、と思えるが、

本なんて、いわば嗜好品である。

生きていくにはなくてもまったく困らないものなのだ。
特に父の本のようなエッセイ本なんて、
支払方法がめんどくさかったら、
それだけで買おうという意欲半減ではないか。

もしかしたら、支払ってくれない人も中にはいるかもしれない。
でもまあ、そういうこともあるかもしれないと覚悟したうえで、
注文主の良心を信じて、後払いシステムを採用することにした。

商売って、難しいね。


つづく

10月4日
父上京。

いや、別に本の件の進捗状況を見に来たわけじゃなくて、
なんか芝居の券をもらったとかで、母と一緒に遊びにきたんですけどね。
1泊で、しかも翌日はうちに寄らずに帰っちゃうし。

それに先んじて、売れ残りの本100冊を送ってきた。
ま、私が送ってくれって言ったんですが、
他に置く場所がないので、私の仕事部屋のもの入れの前に積まれることに。

もの入れが開けられないじゃないかっ

仕方ないですけどね。
売れて、なくなることを願おう。

ところで父は、この本に誤植が多いということを前から気にしていて、
「こんなに間違いが多いのを売るのもなあ」などとも言っていた。
「じゃあ、正誤表をつければいいんじゃないの? よく付いてるじゃん」と、夏休みに帰省したときに私は助言した。

今回の上京に際して、父はその正誤表の原稿を持ってきていた。
もっと早くよこせよ!と、私は9月ごろから思っていたのだが、
まあ、ゆっくりのんびりの田舎の老人時間で生活している父にとっては
これでも最速だったのかもしれない。

で、「こんなにあるんだが…」と見せられた手書きの原稿は、
「なあんだ」というほど、少ないものだった。

312ページの本で、9箇所ですよ。

市販の本だって、ヘタしたらこれくらいあるって。
ホイホイと打ち込んで、B6の紙に収まるようにレイアウトして、
その夜のうちに正誤表は出来上がった。

父には、帯とバーコード、奥付を付け替えた見本を一冊と、
帯とバーコードシールの印刷の見積書を渡し、

「こういう風に帯を変えるからね」
「バーコードもつけた方がいいと思うから、シールで貼るよ」
「で、印刷する金額がこれね。いい?」
「これを、ここ(奥付)に書いてある郵便局の口座に振り込んでね」
「あ、でもまだ開設してないみたいだから、私が連絡してからね」
「それと、出版社みたいにして売った方がいいかと思って、
 稀人舎って屋号をつけてみた。これ別によその会社じゃなくて私だから」
「正誤表は家にFAXで送っておくから、校正してね」

などなど説明した。
う~~ん、分かってくれたかなあ。
今ひとつ不安になる、父のうろんな反応なのであった。

父が帰っていった数日後、FAXした正誤表の校正の返事を聞こうと
実家に電話をしてみた。
正誤表が間違ってたら洒落にならん。

「間違ってない?」
「お前が見ていいんなら、いい」
「えー、ちゃんと見てよ。正誤表が間違ってたらダメじゃないのよ」
「でも、原稿はお前のとこに置いてきたからのう」

あ。

しまった。そうでした。ここにあるのは手書きの原稿。
コピーしておくなどと気の回る父ではない。
はあ~あ。分かりました。私の方で責了とさせていただきます…
これはどうせ印刷するわけじゃなく、うちでB5の紙にプリントして、
私が手作業で切って折って本に挟むんだもんね。
間違ってたら、また直してプリントすればいいや。

経費が発生しないことに関しては気楽な私であった。
まあ、厳密には経費は発生しているんだけど、
(紙代とかインク代とかね)
でもま、目に見える形でお金が出て行くことでなければ、
いっかー、って感じ。

まだまだ、お遊びの段階の出版社ごっこの気分の私なのであった。


つづく

10月3日。
振替口座の別名を「稀人舎」として、
赤い払い込み用紙に印字してもらおうと、郵便局の窓口へ行った私。

その場で、「別名」というのは、別に届出が必要なことを知る。
本来は口座開設の申し込みをするときに一緒に届けるものらしい。

そんなこと知らなかったし。

「この稀人舎っていうのは、なんですか?」
窓口のお姉さんの質問に、バーコードと奥付を貼り付けた本を見せる。
「会社組織ではないんですけど、この本を売る団体というか……
 屋号なんですけど~」
「この名前を使った実績があればいいんですが…」
「実績って……?」
「会員募集のチラシですとかポスターですとか、ですね~」

ああ、分かった。今分かった。ピーン!

この別名というは、サークルとか○○教室とかの会費を集めるときに
こういう振替口座を作って使用するものなんだねっ!

でも、チラシもポスターもないし。会員募集もしてないし…

「あの~、この本をですね、これから売ろうと思ってまして、
 そのための屋号なんですよ~
 なので、実績は今はありませんけど~」

正直に言うしかない。
自分としては、あまり人に勧める気になれない父の本を
窓口のお姉さんに示して「これを売る、売る」というのも
なんか気が引ける。

恥ずかしいなあ。

ダメならしょうがない、私の名前を印字してもらうしかない。

あきらめかけた私に、窓口のお姉さんは優しかった。
「ちょっと、この本、コピー取らせてもらっていいですか?」
「え、はあ、どーぞどーぞ」
お姉さんは、本のバーコード部分と奥付のコピーを取り、
どこかへ電話をかけ始めた。

待つこと約30分。
その間に、カウンターに「ホームサービス」の申込書があったので、
必要事項を書き込む。

しかし「ホームサービス」って名称はなんじゃっ
それを言うなら「ネットサービス」じゃないのか。
もしくは「ホームページサービス」。
なんか、ネットのことをよく知らないおじいさんとかが
考えたようなネーミングだ。実際そうなのかもしれない。
郵政省のおじいさんとか…

窓口が混み始めたせいか、お姉さんはカウンターの外に出てきて、
電話で問い合わせた結果を説明してくれた。

「この、稀人舎というのとですね、この加入者名との関係が、
 どこかで、分かるような資料があればいいということなんですが…」
「えーと……??」関係?
「たとえば、ここ(奥付)に、代表として加入者名が書いてある、とか」
「あ、そういうことでいいんですか?」
「まあ、審査するのはセンターの方なので、ここではそれで大丈夫とは
 言えませんが、たとえば、ということですね~」
「わ、わかりました。じゃあ、これ作り直します!」

飛んで帰ろうとする私。

「あ、それと」
なんですか。帰ってすぐに奥付直してまた来るからっ。
逸る私にお姉さんは申し訳なさそうに言った。

「この口座なんですが、センターの方がちょっと今混んでいるそうで、
 まだ正式には開設されてないんです。
 手違いで開設の通知がそちらに先に届いてしまったんですね。
 申し訳ありませんが、あと1週間ほどお待ちくださいとのことでした」

はあ、そうですか~ じゃあ、来週また来ます~
「ホームサービス」の申し込みも、来週の方がいいですねと言われ、
せっかく印鑑まで押した書類はお持ち帰りすることにして、
ちょっと肩を落として郵便局を後にした私だった。


つづく

このころは、いろんなことが同時進行で進んでいて、わけが分からない。
まあ、その辺を整理しとかなきゃってのもあって、
こんなんを書いてるんですけどね。

えーと、そんなわけで、勝手に発売元の屋号をつけたりし、
それに付随して、奥付も変えないと、というわけで、
これはうちのプリンタで出したのを糊で貼ることにする。

今まで、「著者・発行元」として、父の名前と住所と、
印刷所の社名と住所しか入ってなかったのを、
「発売 稀人舎」として、うちの住所と電話番号、
そして、この間申し込んだ「振替口座」の番号を追加し、
一番下には、小さくISBN番号も入れた。

おお、それらしいぞ。

紙を貼ってあるってのが、情けないけど、しょうがない。
…でも、下に元の印刷が透けて見えるのはどうしようか……
厚手のシール(そんなんあるのか?)にプリントしてそれを貼るか。
まあ、それはそのうち考えることにしよう。
なにしろ、まだ帯とバーコードのシールの印刷も依頼してないのだ。

と思っていたら、9月30日に、頼んでいた見積もりがあがってきた。

帯(420ミリ×50ミリ 1C+0C コート紙70キロ データ入稿)
シール(ミラーコート70キロ スミ1C シール加工)
それぞれ400枚ずつで、しめて4万円ちょい。

これの費用は父に出させよう。
それくらいはしても罰は当たるまい。

で、バーコードの横の「定価」の下には今まで、
「発行」として父の名前のみが入っていたのに
「発売・稀人舎」と1行追加した。

くほほ なんかえらそうになった。

そんなころ、「振替口座」の開設のお知らせが届いた。

………あ、あれ??? 通帳は?

封筒に入っているのは「郵便振替 ご利用のしおり」という
やけにあっさりとした小冊子一冊と、
「郵便振替口座の開設について」という紙一枚だ。

うう~ん。こういうものなのか……

なんだか読みにくいが「ご利用のしおり」をがんばって読んでみる。

この口座に誰かがお金を払い込んだときは、
貯金事務センターというところから1件ずつ通知が郵送されてくるらしい。

払い込みの手数料は、1万円までは70円、10万円までは120円…
これは、青い払い込み用紙を使用した場合は払い込んだ人が負担。
赤い払い込み用紙のときは、加入者の口座から差っ引く。
おう、これこれ、これですよ。私が思ってたのは。

そんでもって、この赤い払い込み用紙は、
用紙を郵便局に請求して、口座の加入者がもらうものらしい。
それに「印字サービス請求書」というのを出すと、
口座番号や加入者名を印字してもらえる。料金はかかるけどね。

やってもらおうじゃないの、印字サービス。
その方が、それっぽい。
でも、そのときの加入者名ってのは口座の名義である私の名前だよね。
まあ、しょうがないけど、「稀人舎」って入れられたら
かっこいいのになあ…

などと思いながら、なおも「ご利用のしおり」を読み進むと…

「別名の使用」という項目が!

「振替口座には、加入者名のほかに「商号」や「屋号」などもご利用
 いただけます。この場合は、別名としてお届けください。」

なんと~!

そんじゃあ、「稀人舎」が別名として使えるかもしれないっ!?
うきうき

さらに「ご利用のしおり」を読み進む。
最後のほうに「郵便貯金ホームサービス」という、
ネットで口座の残高照会や電信振替ができるサービスがあることを発見。
登録すれば無料で利用できるようなので、これも登録しよう。

手元にある父の本に、うちのプリンタで出した帯をつけ、
バーコードと奥付を貼り付けた見本と
「口座開設について」の紙と印鑑を持って、
郵便局の窓口に急ぐ私であった。
10月3日。


つづく

「実際に口座が開設されましたら、センターから通知がいきますが、
 口座番号は、これです」

口座の名義と番号が書かれた小さな紙をもらった。

ふむふむ、じゃあ、「データベース」に登録するのは
実際に振替口座が開設されてからにしよう。
それまで、他にやっておくべきことをやってしまおう。

というわけで、私は販売用のHP作成に取り掛かった。

だって、「データベース」の「電子媒体登録申込み」フォームの最後には
「ホームページのアドレス(URL)」という項目もあるのだもの。

ここも、HPのない場合は空欄でいいらしいが、
ネット書店での販売が絶望となった今、
どっちにしろ、自前の販売用HPは必要だ。

販売用のサイトならば、名前や住所を書き込んでもらう
注文フォームは必要不可欠。

自分のHPには、CGIのタグを貼り付けて、
感想を書いてもらうフォームをくっつけてあるが、
これを応用してできるのだろうか……

でも、注文フォームなら、必要事項を書き込んだ後、
送信する前に確認画面というものが必要だ。
「以下の内容で送信します。よろしいですか。」という、あれだ。
それに、名前、住所、メールアドレスなど、必須項目も、
書き込んでなければエラーを返すようにしなければならない。

ううーん……
私のhtmlの知識でできるものだろうか。
なんか、CGIの本でも買ってこないといけないのか……

ともかく、他のネット販売をしているサイトを参考にしようと、
見てまわっていたとき、注文フォームの一番下に、

「システム提供:ふぉーむまん」という小さなリンクを見つけた。

クリックしてみるってえと、
なんと無料のレンタルフォームを提供してくれるサイトだ。

ああ、世の中便利になってるんですね。

わたしゃ取り残されとるよ。
デザインもいろいろ用意されていてかわいい。

さっそく登録して、フォームを作る。簡単だ……

それを自分で作った本の販売用HPにリンクさせる。
そんでもって、自分で実際に書き込んで送信してみた。
リプライメールに広告がくっついてしまうが、無料なのでしょうがない。
広告の表示されない有料版もあるらしいが、
それはまあ、今後いろんなことがもし軌道に乗ったら考えよう。

販売用HPは、本の表紙の画像を載せて、
版型、ページ数、価格、ISBN番号などを書き添える。
おお、それらしい!

苦し紛れの宣伝文句もひねり出したが、それがあまりにも苦しいので、
実際に中身を少し読んでもらってから買うかどうか判断してもらおうと、

「立ち読みコーナー」というのも作る。

父の本の中から、ちょっとはましな部分を抜き出して、
画面上で読めるようにする。

で、「発行者」は父の名前でいいが、
実際販売するのは私なのだから、
「販売」として、私の名前も入れなければならない。
本を買ってくれた人がお金を振り込むのは、
私の本名が名義になった口座なので、
ここに載せる名前は、私の本名……

ここで、私はちと困った。
仮にもお金を出して本を買ってもらおうとしているサイトである。
いくら素人がやっていると言っても、
買う人にしてみれば、素人だろうが玄人だろうが関係あるまい。

自分がネットで買い物をするときになにを基準に
ここは信用できると、判断するか、と考えたら、
連絡先が明記してあること、である。
ホントかウソかを見分ける方法はないけれど、
(それを言い出すとどうしようもないので、ちょっと置いておいて)
住所や電話番号がきちんと明記してある通販サイトならば、
個人商店のようなところでも、とりあえず、信用することにしている。

なので、やっぱり、ネット通販するには
こちらの住所・電話番号の明記は必須だなあと思う。

しかし、私個人のしかも本名を誰にでも見られるネット上に載せて、
さらに連絡先として、住所や電話番号をさらすことには
多少の抵抗があった。

もはや、そんなことを言っている段階ではないとも思ったが、
私は「うう~ん」と、一晩考えて、

本を販売するための会社風の屋号をでっち上げたらどうだろう

考え付いたのだった。

どっちにしろ、どこかに私の名前は明記しなければならないとは思ったが、
とりあえず「販売:(会社風屋号)」とあれば、
まったくの個人が販売しているのとは違うように見えて、
ほんの少しでも信用の上乗せができるのではないかとも思った。(せこい)

そして、ここから、私の「マイ出版社構想(妄想)」が始まった。

この、今は会社でもなんでもない屋号が、
そのうち本当の法人組織の出版社にになったらいいなあ、と
ぽや~んとした欲が生まれたのだ。

ああ、そうするには、この父の本一冊だけのことを考えてちゃダメだあね。
他にも本を作って売らないと。
どんな本がいいかなあ……
こんな企画はどうかなあ、宣伝方法は……
………

あ、いやいや、先走ってはいけない。
今はまず、この父の本を売って、ノウハウを蓄積せねば!

さらに一晩考えて「稀人舎」という屋号を考えた。
で、30分でロゴを作った。

なにしろ誰に協力を頼んでいるわけでもない、
自分ひとりでやっていることである。
会議にかける必要も、プレゼンする必要もない。
私がいいと思えばそれでいいのだ。

楽だなあ……

みんな、自分の会社を興したがる気持ちがちょっとわかった気がした。

そんなこんなで、販売用のHPを作るついでに、
マイ出版社も作ってしまった私であった。
(「社」といっても実態は私ひとりですけどね)


つづく

近所の郵便局の窓口で、
「あの~、口座を開きたいんですけどお~」
というと、窓口のお兄さんは「ありがとうございますっ」
元気に応対してくれたが、私が
「でもお、戸籍上の名前じゃなくて、こっちの屋号を名義に……」
と言うと、とたんに困り顔になった。

「ちょっと、聞いてみますので、待っててください」
と言われて、待つこと20~30分。
カウンターの向こうで、どこかに電話をかけ続けるお兄さん。
やっと受話器を置くと、ため息をつきながら窓口のところに戻ってきて、
私の名前を呼んだ。

「やっぱり、口座の名義は戸籍上の名前じゃないと…」

と、お兄さんは申し訳なさそうに言った。
「あの、ニューヨークのテロから、そういうテロ対策ということで
厳しくなっちゃって……」
なんていう言い訳までしてくれた。

いや別に、ダメならダメでしょうがないです。
他の方法を考えますから、そんなにすまながらなくても。
郵便局までテロ対策とは、大変ですなあ。

この後も、無知な私のタコな要求のせいで、
小さな郵便局のお兄さんやお姉さんはいろいろ骨を折ってくれるのだが、

「こんな小さい取引にいちいち時間かけてて大丈夫か?」
「もっと合理化したほうがいいんじゃないのか?」
「民営化したほうがいいぞ、やっぱり…」
「いや、でも公営だからこそ、合理化しなくてもいいのか?」
「でもそれじゃやっぱ民営のサービスに食われちゃうんじゃ…」

などと、いらん心配をしてしまう私であった。
まあ、私自身はとても丁寧に対応してもらえて
ありがたかったのですけどね。

で、その口座の名義問題とは別に、
その郵便局にて、新たな疑問が湧いたのだった。

このとき、私はネットで買い物をした支払いを
ついでに郵便局から振り込んだのだが、

その振込用紙を書くのに、
「1から始まる口座番号はこちらの用紙、
 0から始まる口座番号はこちら…」
と注意書きがあるのに気づいた。

郵貯の口座には、2種類あるのか……??

考えながら歩く郵便局からの帰り道、はっとひらめいた。
仕事で、ある本の奥付を作ったときに
発行所の住所の最後に入れた口座番号の前に
「振込」とあったのを「振替」と直しを入れられたことがあった。

普通に口座にお金を入れるのは「振込」だ。
「振替」つうのは、どう違うのか。

家に戻って、「振替 郵貯」でググッてみると、
なんと!

「振替口座」というものがあるではないかっ

知りませんでした。

「ぱるる」とは違って、
お金をよそから払い込んでもらう専用の口座っていうか。
なので利息は付かない。
代わりに、郵便局からなら全国どこからでも払い込める。
手数料をこっち持ちにできる。
よく通販に付いてくる赤い払い込み用紙がそれなわけですね。

家にある本の奥付をひっくり返してみてみると、
すべて「振替」となっていて、番号は「0」から始まっている。
これは、普通の出版社が取次会社と契約して開設する
「取次口座」というものなのだろうし、
私は、この「取次口座」を開くことは多分無理だということは
この時点で分かってはいたが、形だけでもそれらしくしたい。

「ぱるる」を開設する手間と大して変わらないみたいだし、
ネット通販でお金を払い込んでもらうには、
こっちの方が使いやすそうだったので、
口座は、この「振替口座」にすることにした。

で、問題は名義である。

しょうがないので、またしても恥を忍んで電話をすることにした。

「日本書籍出版協会」のおじさんは、

「これは本が売れたときにお金が払い込まれる口座なので、
 そちらで困らなければ、名義は誰のものでもかまいませんよ」

と、まあ多少めんどくさそうな口調ではあったが、丁寧に教えてくれた。
それで、ものはついでと、もうひとつ聞いてみた。

「あの~、ここに枠のある「取引コード」というものなんですけど…」
「ああ、それは取次会社との契約番号のようなものです。
 なければ空欄でかまいませんよ」

やっぱり…

「あのあの、これって、やっぱり個人で契約するのはできないんで……」

「ああ、無理ですね」(みなまで言わせずきっぱり)

…………
ここ数ヶ月の私の無知、間違い、勘違いに、ついに止めが刺されました。

これで、完全に一般書店及びネット書店での販売という道は閉ざされた。

わかりました。

なんとかして、自力で売ってみせようじゃないのっ
取次がなんぼのもんじゃいっ


天邪鬼な私である。

とりあえず、私はまた郵便局の窓口に走り、
今度はぐだぐだ言わず、健康保険証を身分証明書として提示して、
本名を名義にして振替口座を開設したのだった。
9月28日のことであった。


つづく

「データベース日本書籍総目録」
「電子媒体登録申込み」フォームを、まず、眺めてみる。

「申請日」は、わかる。というかこれを送信する日の日付でしょ。

「書協会員」は、「非会員」にチェック。

「取引コード」ってのは……えーと、
 多分、取次と契約してるともらえる番号みたいなもんだろうか…
 えーとえーと、空欄、でもいいのかな…??

「ISBN出版者記号」は「9902700」
「社名」は、父の名前、でいいんだよね。


「住所」は、「社名」を父の名前にしたから、ここも父の住所にしちゃえ!

 ……と、ここで私はまずひとつ間違いを犯しました。

この「電子媒体登録申込み」というのを、
私はただ「データベース」の電子媒体申し込みのためだけに
必要なものと思っていて、ここに書き込んだデータが、
どこかに公表されるとは、思っていなかったのだ。

しかし、ここに書き込んだ情報は、
「データベース」の「発行所情報」として、
本の検索結果画面からリンクされてしまうのだった。

この申し込みの時点では、そんなことは知らずに
「申し込み用だから、父の住所でいいやー」と深く考えなかった私。

後に「データベース」に登録されたとき、自分で検索してみてびっくり。
「出版社」という項目の父の名前をクリックすると、
実家の住所が表示されてしまう。

本の販売をやっているのは、私だ。
この「データベース」を見て、本を買おうと思ってくれる人が
どれくらいいるのかは謎だが、仮に一人でもいたとして、
その人に実家の住所を知らせてもしょうがない。

これは、登録したのちに、あわてて「日本書籍出版協会」
電話することになった。
後に述べる、もうひとつの間違い訂正とともに……

そして次の項目

「担当部署(連絡用)」ここは、私の名前。
「担当者(連絡用)」これも、私。

「代表電話」「FAX」は、うちの番号。

 ……これも「データベース」に表示されてしまうので、
「電話番号」は東京の局番なのに、「住所」は山形、という
ちぐはぐなことになってしまったのだ。

で、次の「郵便振替」で、私の手は止まってしまったのだった。

えーと、これは郵便貯金の口座番号を書くのか?
ならば、郵貯の口座を開かないといけないか……
「ぱるる」で、いいのか??
(これはホントは「ぱるる」じゃないのだが、
 この時点では私にとって郵貯といえば「ぱるる」だった。)

そして、ここで、もうひとつ問題が浮上した。

私は、結婚して戸籍上は夫の姓に変わってしまっているのだが、
実は、仕事では旧姓を使っている。
特に「夫婦別姓」とかにこだわっているわけではないが、
結婚前から仕事をしていて、その方がとおりがいいと思ったからだ。

この、父の本を売るにあたっても、自分の父の本のことだし、
仕事の範疇かなーという気もあったし、
出版者である父と苗字が同じほうがいいかとも思って、
この旧姓の名前でISBNもJANコードも申し込んでいた。
この「データベース」にも、旧姓で登録したいと思っていた。

でも、郵貯の口座って、本名じゃないと開設できないのでは…

仕事の領収書や支払い調書などは、旧姓で送られてくるので、
税務署には「屋号」として、この旧姓の名前を登録してある。

どうにかならんかと思った私は、
この「屋号」が記載されている去年の確定申告の控えと印鑑を持って、
郵便局の窓口に行ったのだった。


つづく

さて、本のISBNが決まったので、
「データベース日本書籍総目録」というのに登録してみることにする。

これは、ISBNのお知らせに登録用紙が同封されてきたもので、
「社団法人 日本書籍出版協会」というところが管理しているらしい。

これに登録すると、Books.or.jpという書籍検索サイトで
本が検索できるようになり、
契約者(アマゾン、紀伊国屋書店、図書館流通センター、
日本書店商業組合連合会、ブックサービス、丸善)などにも
データが送信される、とある。

ん? アマゾン?紀伊国屋?

じゃあ、これに登録したら、そのままAmazonにも登録されて
注文できるようになるの?
でも、AmazonにはAmazonの登録用のテンプレートがあったような…

さらに、その資料には「書籍DBシステムの情報の流れ」という
図が載っていて、それによると、
書籍データベースの情報は、書店や取次にも流れるふうに
矢印が書いてある。

????

取次にも情報が流れる?
でも、取次は取次口座がないと流通はさせてくれないんじゃ……

またしても謎だらけだ。

しかも、よく見ると、その図には
「一部予定を含む」という注意書きが付いている。

ど、どの部分が「予定」なのっ!?
……書いてないし。

まあ、悩んでいてもしょうがない。
登録は無料のようだし、webのフォームで簡単にできるようなので、
とりあえず、やってみることにする。

「データベース日本書籍総目録」にwebから本の情報を登録するには、
まず「電子媒体登録申込み」というのをしなければならない。
これもまあ、フォームに書き込んで送信するだけなのだが、
これに書き込むためにまた、
よくわからないこと、準備しなければならなことが
てんこ盛りに発生したのだった。

しかし、実は、これらの問題をクリアしていく段階で、
私の「マイ出版社構想」が生まれたといっても過言ではないのだった。


つづく