ことほどさように、e託販売サービスに関しては、
文字通り一喜一憂している、わが「稀人舎」なわけですが、
このサービスって、今どのくらい利用されているんでしょうか。
そして、利用しているのは、どんな方、または会社なんでしょうか。

アマゾンのサイト上で見る限り、e託販売した本であっても、
別に「これはe託販売ですよ」などという記載はなく、
一般に流通している本と同じ扱いで表示されているし、
(これは後述しますが、とてもありがたいことなんですけどね)
e託販売サービスのサイトを見ても、
他の利用者の一覧などはないので分からないんですよね。

実は私は「版元ドットコム」という団体に会友として参加しておりまして、
そこは、中小の出版社が集まり、既存の出版流通ではなく、
ネットを使った、書籍データの書店への公開、また、ネット販売を
やっていこうと様々な取り組みをしている団体なのですが、
その会員である中小の出版社の皆さんの意見を見る限り、
今のところ、なんとなく冷ややか~な感じがするんですよ。

大方が「条件が厳しすぎる」ということのようなんですが…

これって、すでに取次会社に口座があって、
取次を通してアマゾンにも全国の一般書店にも
流通させることができる会社のご意見だよなあ、と。

通常の書籍の流通は、
「出版社」→「取次」→「書店」→「読者」で、
出版社から取次への卸正味が、だいたい65~67%と言われています。
出版不況と言われて久しい現在、新たに口座を開く(取引を開始してもらう)
新規の出版社は、限りなく60%に近い数字になっているようです。
それよりなにより、出版社になんらかの実績なりコネなりがないと、
そもそも取次会社に新規の口座を開いてはもらえないのが現状のようです。
法人でもない、個人出版社の「稀人舎」では、
問い合わせてみるまでもなくダメです。たぶん絶対。
(見よ! 去年からの成長ぶりっ いろいろ勉強したんですよ、これでも…
 無知蒙昧な私の珍騒動を知りたい方は、「ことの起こり」からのエントリーをお読みくだされ)


で、すでに取次会社に口座がある出版社にしてみれば、
卸正味67%で、アマゾンだけでなく他のネット書店も、
一般書店へも今までどおりに配本できるわけだから、

e託販売の「卸正味60%」「年会費9000円」というのは、厳しい条件

ということになるんでしょうが…

でもですね。
取次を通した本の67%がすべて出版社の懐に入るわけでもないのです。
いろいろ勉強して知ったのですが、
まず、新刊本を全国の不特定多数の書店
(どこの書店かは取次が決めるんですが)に配本してもらうためには、
5%の「歩戻し」という手数料を払わなければなりません。
これは、その配本した本が売れても売れなくても
配本してもらった部数分のようです。
仮に1000円の本を1000冊、全国の書店にばら撒いてもらいたいと思ったら、
1000円 × 5% × 1000冊 = 5万円 かかるということですね。
卸正味の67%というのは、「売れた場合」に支払われる分ですから、
もし、この配本した1000冊がまったく売れずに返本されてきたとしても
5万円は戻ってきません。(さらに返本手数料というのもかかります)
新刊配本の分が全部売れたとしても、
その場合の卸正味は62%になるということですね。
でも、よほどの話題本とか有名作家の本とかでない限り
返本はあるのが普通だそうですから、
売れた分の本には、返本されてきた分の「歩戻し」も
かぶさってくるわけですから、
そのパーセンテージは限りなく60%に近くなってくると思います。

その他にも、本送料や返本手数料などなど、経費を換算したら、
1冊につきの売り上げは50%くらいには
なってしまうんではないでしょうか。
(ここまでのパーセンテージやらの数字は、あくまでも一般的に、の数字です。
 実際は出版社と取次会社との個別の契約内容によって、いろいろのようですよ)


で、e託販売サービスです。

卸正味が60%で、パラパラと売れて1冊ずつ納入する送料を入れたら、
それこそ売り上げは50%以下だと思います。
でも、新刊配本のための「歩戻し」は必要なく、
商品登録し、画像データを送れば、
アマゾンのサイトにその本の紹介ページが
1ページ追加されるのです。表紙の画像付きで。
さらに、出版社、著者からのコメントも載せられるので、
そのページさえ見てもらえれば、
書店の店頭に平積みしてもらっているのと同じとも言えます。

「そんな無名の作家の無名の版元から出ている本のページなんか
 誰も見ねえよ。
 それよりも本屋でたまたま手に取ってもらえるって方が売れるよ」


というご意見もおありでしょうが、

しかしっ!

取次に配本してもらって全国の書店に送られても、
特に話題にもなっていない本の場合、
よくて1冊か2冊を数ヶ月間棚に差してもらえるか、
悪くすると、噂に聞く「荷解きもせずに返本」ですよね。
書店さんだって限りある売り場面積の中で、最大限の売り上げを上げるべく、
日々努力してるんですから、
「なんじゃこれ??」てな本のために割く売り場はないんですよ。
分かってます。

あなたは、広い本屋さんの片隅の棚の上の方(か、下の方)の目立たない場所に
背表紙だけ見せて挟まっている本を「たまたま」手に取りますか?


そんな僥倖に巡り会える確率は天文学的数字になると思います。
それで、各出版社とも、新聞広告を出したりテレビCMを打ったり、
著者のサイン会をやったり、
営業さんが一軒一軒の書店を回ったりして、PRし、
なんとか目立つ売り場に平積みにしてもらえるように働きかけるわけですね。
そんなようなPRは、資金力のない「稀人舎」には到底無理な話ですが、
アマゾンのサイト上では、他の大手出版社からの出版物と
扱いは「理論上は」同じなのです。
そして、一度登録した商品はなにか問題がない限り、
ずっと取り扱い続けてもらえるのです。
もちろん、トップページやおすすめ商品に載っている本は、
取次会社の意向が絡んでのことだと思われるので、
取次を通していない本に関しては、ここへの紹介は無理だと思いますが、
他の条件は同じだと思います。
関連本、類似本で他の本のページにリンクされたり、
買ってくれた人がいれば、
「この本を買った人は……」で紹介もしてもらえる。
マーケットプレイスに出品することもできるし、
アソシエイトで紹介することもできる。

e託販売サービスで直販委託だからといって、
豆粒極小個人的版元だからといって、特別扱いしないで、
他の一般書と同じ条件にしてくれているアマゾンに感謝!ですよ。

そんなこんなで、手続きして年会費さえ払えば、
アマゾンで扱ってくれるという
e託販売サービスの開始に小躍りして喜び、
後先考えずに申し込んだ私なわけですが、

他にもこんな人っていないんですかね?

こんなアホウなことやってる人はいないってことでしょうかね……
でも、これのどこがアホなことなのか、今の私にはまだ分かっていません。
もうちょっとしたらなにか分かってくるのかもしれませんが、
今は、どうがんばってもまず取次と取引することはかなわない
「稀人舎」の本が、他の本と同じ扱いで販売できる、
ということに最大の価値を見出しているわけです。
なにか、今の私には分からない落とし穴があるのでしょうか……

この「ひとり出版社」を始めた当初、目標にしていたのは、

アマゾンで自力で本を売る

だったので、この当初の目的はアマゾン様のロングテール対策によって
めでたく実現したわけです。
「ロングテール現象」という考え方が出てきたことで、
個人で本を出して一般書と同じ条件で売ることが、
ネット上限定とはいえ、可能になったわけです。

独自のISBNを取得していることが条件で、
この条件が厳しい、という意見もあるようですが、
ISBN取得は別に難しくないですよ。
私でもできたんですし。
お金とちょっとの手間を掛ければ取得はできます。

あとは、いかにして「未入籍別居婚」を世に知らしめるか、
「おもしろそうだ」と思ってもらうかのPRです……

まあこれもリアルの書店で本を売るのと同じように難しいことなわけで…

ううう~~~ん……まだまだ悩み中。
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2007/01/01(Mon) 22:31:10 |  離れ座敷のひとりごと