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「NHKにようこそ」角川文庫



実はマンガの1巻を先に読んでみた。



これが、なんというか、おもしろいような気がするんだけど、
どうもピンとこないっつう、もや~っとした気分になってしまったので、
原作を読んでみることにしたのだ。

ちょうど文庫になってたし。

単行本で出たときも気にはなってたんだよね。
私は、オタク文化に非常に近いところで仕事してたりもするし。
(いわゆる美少女ゲームのファンブックとかのデザイン、やってます。はい)

「あとがき」で作者みずからが、

「作中で語られるテーマが過去のものなどではなく、
 僕にとっては現在進行形の問題」


と言っているように、ひきこもり主人公の心情はとてもリアル(だと思う)
完全に内にこもって、異常な精神状態になってるわけじゃなく、
外に出たり、やっぱダメだ~とまたひきこもったり、
同じひきこもりのオタクを批判してたかと思うと、
激しい自己嫌悪に陥ったり。

立ち位置がぶれぶれなところが、リアルな気がして

「ああ、実体験なんだろうなあ」

と思わせる。


…と、この後はちょいネタバレもあるので、読みたい人だけどーぞ。
主人公のリアルさに比べて、ヒロインの岬ちゃんは、ちょいキャラが弱い。
せっかくオタク心をくすぐる設定を持ってきているのに、
なんだか、途中からその性格がぼやけてきてしまうのだ。

まあでも、そこも含めて立ち位置ぶれぶれなひきこもりの現状だよと
表現したかったのだとすれば、それはそれで成功してるのかも。

最後は、ほろりとさせられるしね。

もしかしたら、岬ちゃんてキャラも完全な創作じゃなくて、
ある程度リアルの存在なのかもしれない。
だからこそ、性格がぼやけてしまったのかも。

現実の人間の性格なんてぼやぼやだもの。

もっと最後まで岬ちゃんの正体を謎のままにして、
妄想と現実を行ったり来たりっていう方が、
お話としてはスリルがあってよかったのかも。
謎の陰謀組織「NHK」に、もっと活躍させるとか、ね。

あー、マンガではそっちの方面で膨らませようとしてるのかな。
オリジナルのエピソードも入れてるみたいだし。
まだ1巻しか読んでないけど。


しかしね、「ひきこもり」ってのは、
本当に世の中が豊かになったからこそ
表面化した病って気がするね。

いや、
「部屋にひきこもっていても生きていけるなんて、
 世の中が豊かだからできることよねっっ 甘えよねっっっっ」

っていうことじゃなく、
(あ、いや、そういうことなのかな、でもちょと違う………)

昔から「ひきこもり」系の性格の人ってのは、いたと思うんですよ。
人と交わるのが苦手とか、コミュニケーション能力が低い、とかさ。
でも、みんなが食べるためにカツカツの世の中だったら、

「あいつ、なに言ってるかわかんねえよ」とか
「キモーイ」とか
「コミュニケーションの取れない人とは仕事したくないね」とか

そんな贅沢なことは言ってられなくて、
とりあえず、何でもいいから「働けよ」と。
「みんなで働かないと世の中回っていかないよ」と。
そんな状況だったから、
どんな人でも黙々と手を動かして働いている分には
誰も文句も言わなかったし、それでよかったんだと思う。

でも、世の中豊かになって、
ガツガツ働かなくとも生きていけるようになると、
とたんに「人との関わり」とか「社会生活」とか言い出す。

腹がくちくなると形而上学的なことを考え出すのは
人間の宿命なんですかね。


そんなん急に言われちゃうと、
それまで黙々と手を動かしてれば幸せだった性格の人たちは
困っちゃうわけだよ。
急に他人と口をきけって言われてもねえ。

でも、現代においては、
「いかに他人とうまくやれるか」
「友だちがどれだけたくさんいるか」
「どんなおもしろい話ができるか」
「人に不快感を与えないで生活できるか」
ってのが、最優先課題だったりするわけで……

他人とコミュニケーションをとる能力が低い人は
つらいと思うんだよね。

みんな、自分が生き残るために必死になるような世の中だったら
他人のコミュニケーション能力になんかかまっていられなくなる。
「ひきこもり」系の性格の人にとっては、
そっちの世の中の方が楽だよ、きっと。

NHKにようこそ!」の作者は、「文庫版あとがき」の最後で

「アイデンティティー。恋。実存。宇宙。神。
 かくのごとき大いなる謎に対していずれ最終的な答えが
 与えられる日はきっと訪れるはずなのである。」


なんて書いてるけど、そんな日は来ないんだよ。たぶん、ね。

あ、来ないって分かってるから、わざわざこんなことを書いたんだろうか。
そうだろうか。
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