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2005年4月、ゴールデンウィークまであと1週間ほど、という頃に、
父の元に、先だっての出版社の編集部の人とやらから
手紙と電話がやってきたそうだ。

曰く
「送っていただいたあなたの本を拝見させていただきましたところ、
 大変素晴らしい内容で、プロの編集である我々の眼から見ても
 充分、全国的に売れるものだと思われました。
 
 つきましては我が社から出版して、全国の本屋さんで売れるように
 したいと思いましたが、いかんせんこの出版不況の中、
 どうしてもトップの方との折り合いが付かず、

 何度も会議にかけましたが、

 我が社からの企画出版という形で出すことにはOKが出ませんでした。
 
 しかし、現場の我々からしましたら、
 この本を地元一部にしか流通しない自費出版として埋もれさせておくには

 惜しくてなりません。

 我が社全額負担で企画出版することは会議が通らず無理なのですが、
 
 そちら様で249万円を負担していただければ、

 『協力出版』という形で我が社から出版することは可能なのですが、
 ご検討いただけないでしょうか。

 最初に249万ご負担いただければ、初版1000部印刷しまして、
 全国の我が社が特別に契約しております書店に必ず配本いたします。
 普通の本は取り次ぎという本の問屋のような会社を通して
 本屋に送られるので、その会社しだいで実際に本屋さんの棚に
 並ぶかどうかはわかりませんが、我が社の特別契約書店さんなら、
 我が社から出版した本でしたら必ず売り場に並べていただけます。

 ……あ、山形にもいくつか契約店がございますので、
 ご確認いただくこともできますよー

 もちろん、新聞、テレビなどでの広告も出しますし、
 その費用はすべて我が社でまかないます。
 そちら様には最初の249万円以外、いっさい費用は必要ありません。

 さ・ら・に、そちら様には我が社と印税契約を結んでいただきまして、
 初版は2%の印税を売れた分に応じてお支払いいたします。
 初版が完売しまして増刷がかかれば、
 第2刷は5%、3刷は8%と、
 だんだんに印税額が上がっていくシステムになっております。

 いやいや、まったく素晴らしい内容で、
 プロの編集の眼で見ましても必ず全国で
 売れる本にする自信がございます。
 出版され、話題になりましたらテレビに
 ご出演いただくこともあるかもしれません。
 あ、その際の費用なども当然我が社でお出しいたしますので、
 ご心配は無用です。

 ぜひ我が社から出版させてください。

 いろいろご不安なこともございますでしょうから、
 一度上京されて、我が社においでになって
 詳しい打ち合わせなどしたいと思いますが、いかがでしょうか。」

と、まあこんなようなことだったらしい。

怪しさ満点、突っ込みどころ満載、

なのに田舎のど素人じいさんである父は、
これにコロッと騙されたのであった。


つづく
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