すっかりツイッターでぶつぶつ言うのが習慣になってしまい、
長い文章を書くのが億劫になってしまった昨今ですが、
これはちと文字量ないと書けないことかなと思ったので、
長いですが自分用メモも兼ねて書いときます。

いわゆる「非実在青少年」問題についてのことです。



非実在青少年

なんていうキャッチーな造語まで
作ってくれちゃったおかげで、
現在、一部で話題沸騰中の
通称「東京都青少年保護条例」改正案ですが、
私は、はらわた煮えくり返るほど

反対です。(まずは態度表明)

反対理由は
「青少年の健全な育成のためとかおためごかしを言って、
 自分たちの価値観を押し付けるなよっ!」
という、ほぼこの一点です。
「子供を持つ親はみんな不安に思っている」
とかの言い草も腹が立つ。
少なくともここにいる親(私)は
不安になんか思っていないぞー。
「みんな」じゃないぞー。おー。

今までの経緯や問題点など詳しいことは
非実在青少年」でググッてみてください。
ネットに上がっているのは主に、
というか、ほとんどが反対意見ですが、
いろーんな問題があることを
いろーんな人達が丁寧に解説してくれてます。

で、この「東京都青少年保護条例」改正案は、
ろくに審議もしないまま、
ヌルッと可決されてしまうとこだったんですが、
さまざまな反対意見が出たことで、
とりあえず、こないだの3月の都議会では決まらず、
6月の都議会への継続審議となりました。

そういうわけで、今は、
6月の都議会に向けて、
いろいろと意見交換をしてる……
…………
はずなんですが!
私が見る限り、意見「交換」なんぞしちゃいません。
主に反対派が意見を言いっぱなしに言ってるだけです。
そして、(あまりいませんが)賛成派の人も、
反対派の意見をまず聞かない。
賛成派も言いっぱなし。

全然議論になってない。
噛み合ってなくてものすごくイライラする。
いい大人同士(しかも政治家とか評論家とか。頭いいんじゃないの?)なのに、
なんでこんなことになっておるのか?

それは、両者の世界の見え方が
違うからなのじゃないかと思うのです。

まったく違って見えているものを同じものだとして、
一方は「よい」、一方は「ダメ」と言い合ったって、
そりゃ議論になんかなりゃしません。
お互いに「なんでわかってくれないんだろう??」って
不思議に思うばかりです。
反対派は賛成派のことを
「この頭コチコチの既成概念人間が!」と憤り、
賛成派は反対派のことを
「やっぱりキモオタは何考えてるかわからねえ」
と気味悪がるだけです。

なんでこういうことが起こるのか。

ここで問題になっているのは、
漫画やアニメなどの表現物なので、
見え方が違っちゃっている「世界」というのは、
表現物から個々が受け取っている要素ですね。
漫画やアニメを見たときに受け取る要素、
つまり感動や嫌悪感や思考などなどは、
個人個人で違うはずです。
ときには作者が意図していない要素を
受け取ることもあります。
ていうか、腐女子なんかは
ほとんどそればっかりで楽しんでると言ってもいい。
そういう腐女子のように、
作品から多様な要素を受け取るには
たくさんの作品に触れて
受け取る訓練をする必要があります。
で、それに関しては、反対派の主要メンバーである
オタクたちに一日の長があるわけです。
つーか、訓練しようと思ってやってるわけではなくて、
漫画やアニメに多様な要素があることがおもしろいから、
たくさんのものを読んだり見たりして、
その結果オタクや腐女子になってるんですけどね。
そんでもって、その多種多様な漫画やアニメが
今後もあり続けてほしいと願っているので、
今回の改正案には反対してるんです。

一方、あまり漫画やアニメを見たことのない人達……
規制賛成派はそんな人達なんじゃないかと思いますが、
そういう人は、漫画やアニメからは、
それほど多様な要素を受け取ることはできません。
エロい漫画だったら、エロな要素、
ロリなアニメだったら、ロリな要素、という具合に
いわゆる一般的なイメージどおりに
素直に受け取るのではないかと思います。

これはどっちがいいとか悪いとかの話じゃない。
どんなジャンルの表現物に多く接しているかの
違いに過ぎません。
私は漫画好きのオタクで腐女子なので、
漫画を読んで「ムフフ」な妄想が
広がることしばしばですが、
漫画はほとんど読まないから
そこから多様な要素は受け取れないけれど、
音楽からはものっすごく妄想が広がる、とか、
帳簿の数字を見ると、
私には想像も付かない要素が
そこに浮かび上がる……などの人もいるでしょう。
(いるのか? いるかもいるよきっと)

その違いのためになにが起こるかというと、
同じエロ漫画を読んでも、
オタクはそこに悲しい要素を見出したり、
他の創作物との共通項を感じて、
妄想が広がったりするんですが、
そうじゃない人にとっては、
ただの「エロ」でしかなかったりするわけです。
そして、漫画やアニメは「絵」ですから、
一瞬で目に飛び込んできて、
ある要素を見た人に叩き付けてしまいます。
たとえば、あるエロ漫画について、
「この漫画はエロい描写があるけど、
 感動の成長物語なんだ」と、私がいくら力説しても、
そのエロい絵から嫌悪感を伴う「エロ」だけを
受け取ってしまった人には、それでしかないのです。

規制反対派がよく言う話に、
「この改正案が施行されたら、
 「ドラえもん」も規制される」
というのがあります。
「ドラえもん」のアニメにしばしば登場する、
しずかちゃんのシャワーシーンがやばいだろ、
というやつですね。
こんな国民的に人気のある作品の、
しかも「子供向け」と認識されているものの中にも、
「こういう」シーンがあるんだから、
一律に網をかけるような曖昧な規制はダメだ、
と、論は展開されていくんだと思いますが、
これ、たぶん賛成派の人達には、
なにを言っているのかわからないのではないでしょうか。
賛成派の人達は、しずかちゃんのシャワーシーンから
「エロ」を受け取ったりはしません。
しかし、反対派であるオタクにとって、
しずかちゃんのシャワーシーンは、
極端な話、「奥様は小学生」と同じなのです。

「奥様は小学生」は、
東京都副知事の猪瀬直樹氏が、
テレビの討論番組で、
規制されるべき漫画の例として
現物を提示したために
一躍有名になった漫画です。
私は作品を読んでいないのですが、
あちこちで紹介されているあらすじを見ると
その作品中の小学生のエロいシーンは、
主人公の妄想なのだそうです。

小学生だけど魅力的な女の子の裸を想像して、
あれこれ妄想をたくましくするけど、
最後は「なーんてね、てへへ」で終わる話、
と考えると、
しずかちゃんのシャワーシーンと
「奥様は小学生」は同じ要素を含んでいると
言ってもいいのではないでしょうか。
そこから同じ要素を受け取ってしまうからこそ、
反対派は、
「奥様は小学生」が規制されるなら
「ドラえもん」もだろ!?
と反応してしまうわけです。

しかし、
しずかちゃんのシャワーシーンを思い浮かべて、
頬を赤らめるのび太の妄想は、
作中で克明に描かれることはありません。
なので、「ドラえもん」にエロなどないという
大前提で見ている人にとっては、
それはエロではなく、
微笑ましいワンシーンでしかありません。
一方、「奥様は小学生」は、
お話の上では妄想だとはいえ、
絵でそのシーンが描かれてしまっています。
テレビ番組中に猪瀬氏は、
この作品のページを開いて、
ご丁寧にもあちこちを紙で隠した絵を
見せていましたが、
確かにそれだけ見れば、「エロ」しか感じられず、
眉をひそめる人がいるだろうなという絵の連続でした。
なので、これに「ドラえもん」と共通する要素を
見出したりしないような人達にとっては、
こちらだけが問題のある漫画ということになります。

そもそも作品から受け取っている要素が違っているので、
いくら反対派のオタクが
「これとこれは同じだろ!?」と言っても、
なにが同じなのかわからないのです。

ちなみに、話がちょっと逸れますが、
「奥様は小学生」のエロシーンは、
小学生の性行為自体を描写しているわけではなく、
裸の女の子がバナナと練乳にまみれて
「あんあん」言っているだけです。
「だけです」といっても、それが十分にエロいことに
代わりはないんですが、
しかし、3月末の都議会の審議会で、
「非実在青少年による性交又は性交類似行為」ってのが
曖昧過ぎるからいかんのではないかという質問に、
都では
「「性交類似行為」とは、手淫、口淫、肛門性交、獣姦、鶏姦など、実質的に性交と同視し得る態様における性的な行為を指すとされている。本規定は、これらの性交又は性交類似行為を直接明確に描写したものに限定され、性交を示唆するに止まる表現や、単なる子どもの裸や入浴・シャワーシーンが該当する余地はない。」
と答えてるんですよ。
バナナと練乳って、
「実質的に性交と同視し得る態様における性的な行為」
なんですかね?
猪瀬氏は「こんな酷いものは売る棚をわけるべき」
と言って紹介していたので、
この作品は規制対象だと認識しているはずですが、
都の回答とズレてるような。
そこんとこどうなんでしょうか……



と、長々書きましたが、
要するに、規制賛成派も反対派も、
「俺には「ドラえもん」と「奥様は小学生」が同じに見える」
「俺にはどうしても同じには見えない」
など、自分が見えているものを提示しあい、
きちんと相手のことを認識しろと。


話はそれからだ。


ということが私がここんとこ「非実在青少年」について
イライラと考えていたことです。
話し合うには同じ土俵に立たないといけないと思いますが、
今はまだお互いに別々の土俵に立って、
離れたところから見当違いのことを
叫び合っているだけのように見えます。
なんとかならんもんでしょうかのう。


「非実在青少年」問題については他にも、
マイノリティとマジョリティとか、
親という立場とか、
言いたいことはてんこ盛りにあるんですが、
長くなったんで、今日はここまで。

読んでくださった方、ありがとうございました。


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コメント
この記事へのコメント
たしかに苛立ちますね。
ゆうさん、こんばんわ♪

 たしかに噛み合わない議論、というか戦いですよね。噛み合わない原理、よくぞ解説してくださいました。さすがですね。
 でも、原稿の自治体条例の解釈で、ヤバい描写三回アウト(警察呼び出し)だと廃刊v-40というのが漫画界の実情ですから、これの拡大解釈でフォロー?できるはずなんです。
 ところが、児童ポルノ大国という評判が大きな問題で、推進派はなんとしても文化国家としての汚名をそそぐために成文化したい。反対派も長年の絵を描く自由のために戦う。という構造ではないでしょうか。もはや意地の張り合いに近いかと。
 じつはその背景にある「エロと感じるかどうか」のテーマに、ワタシもようやく気づきましたv-356
2010/04/15(Thu) 20:06 | URL  | 横山 #-[ 編集]
横山さま、こんにちは
>ヤバい描写三回アウト(警察呼び出し)だと廃刊
ですか! 知りませんでした。
こんなんだったら、ますます現行条例のままで充分ですよね。

意地の張り合いではなんの進展もないんですけどね……
どっちが悪いとかの話じゃなくて、賛成派も反対派も同じレベルで討論したいものです。

でも、「エロ」の問題は難しい。
賛成派は「エロと思ったやつがエロ」という罠に嵌ってしまって、嵌められた!と怒っている状態なのかなあと思ったり。
2010/04/16(Fri) 10:16 | URL  | 管理人 #Enj21zdQ[ 編集]
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