2005/04/10(Sun) 09:21
自称プロの編集者の巧妙な営業トークにコロッと騙された父は、
249万円を出す気満々であったらしい。
なにより
「プロの編集者の眼から見ても素晴らしい内容」
という言葉にくらっと来た父は、
母の「ちょっと高すぎるんじゃないの?」という不安にも耳を貸さず、
逆に
「俺のやることに文句があるのか」
「俺の金なんだから、なにに使っても自由だろう!」と怒り出す始末。
(まあ、普段から父と母は仲が悪いんですがね…)
父と違って金には渋い母は、事の顛末を私に電話して来た。
そして私は、母から249万円という金額を聞いた時点で、
「それはやばいよ」と思った。
で、
「じゃあ、なんとかしてお父さんからあんたに電話させるから、
説得してくれる?私がなんか言っても逆効果だから。
あ、お母さんから電話があったってことは内緒にしてね」
と母から頼まれ、
言われなくたってそんなとこに金使うなんて止めたるわいっと、
私は鼻息荒く答えたのだった。
ほどなくして掛かってきた父からの電話で詳しいことを聞いた私は、
ますますその出版社に疑惑を抱いた。
まず、249万という金額が高すぎる。
どんな立派な本を作ってくれるつもりかしらんが、
印刷・製本代だけなら100万円もあればお釣りが来る。
そんななのに、相場を知らない素人だと思って
「広告はすべて我が社の負担で行います!」
とか恩着せがましく言ってるってのも気に入らない。
「テレビにご出演いただくことも…」なんてのはウソに決まっている。
素人がそんなほいほいテレビに出て宣伝ができたら苦労はしないのだ。
さらに、
「取次を通すと書店に置いてもらえないこともあるので、
我が社の契約書店に…」
というのも怪しすぎる。
私が以前に父に「インターネットでなんとか売れないか」とか聞かれて
調べたときにわかったのは、
取次を通してない本はネットで売るのも難しい、ということだったのだ。
要するに、取次を通さないということは、
全国に流通させることができない、ということなのだ。
仮に九州に住んでいる人が、父の本のことをなにかで知って、
近所の本屋さんに取り寄せてもらおうとしても、
取次を通してないと、取り寄せてもらえない。たぶん。
その編集者さんは「我が社の300にも上る契約書店で」とかいう
言い方をしたみたいだが、
「全国で300店舗」って、笑っちゃう数だろうがよっ。
そんな店、どこにあるのかもわかんないじゃないかっ!
さらにさらに、印税契約。
それも売れた分の2%!?
ふ・ざ・け・ん・なっっ
249万も出させて、たったの2%の印税、それも売れた分だけ?
しかーし、ど素人のじいさんには
「印税」という言葉は、魔法の言葉だったようだ。
「印税を払ってくれるんだってよ~」
と、嬉しそうな電話の向こうの父の声に気が遠くなりそうだった。
仮に1000円の本だとして印税20円。
初版1000部が完売しても2万円ぽっちですよっ!249万円も出して!!
「それおかしいって!」必死の説得にかかる私に、父は
「でも増刷がかかればそのたびに印税は
5%、8%って上がっていくって。
それに増刷分は向こうが金を出して印刷してくれるって…」
まだ騙されてるし。
(増刷なんてかかるわけないでしょう~!)とは、
さすがに不憫で言えない私は、
「いくら印税だって2%は少なすぎるから」
「249万もかけなくても本は作れるんだから、
向こうはそこから儲けも出すつもりでいるに違いないから」
「普通の名の売れた作家さんだって1000部売るのって、
本当に大変なんだから」
と、言葉を尽くして説得に当たりましたよ。
「そんなインチキに249万も払うなら私によこせー!」←心の叫び。
1時間近くの説得の結果、
「やっぱり249万は高いかのう~」
という父の言葉を引き出すことにやっと成功しました。
でも印税にまだ未練がある様子の父。
すごいね、魔法の言葉印税。
私も素人を騙すときは覚えておこう。印税。
そうして、あと一押しでその出版社からの話はあきらめそうだ、
という父に、
私はつい余計な一言を言ってしまったのだった。
つづく
249万円を出す気満々であったらしい。
なにより
「プロの編集者の眼から見ても素晴らしい内容」
という言葉にくらっと来た父は、
母の「ちょっと高すぎるんじゃないの?」という不安にも耳を貸さず、
逆に
「俺のやることに文句があるのか」
「俺の金なんだから、なにに使っても自由だろう!」と怒り出す始末。
(まあ、普段から父と母は仲が悪いんですがね…)
父と違って金には渋い母は、事の顛末を私に電話して来た。
そして私は、母から249万円という金額を聞いた時点で、
「それはやばいよ」と思った。
で、
「じゃあ、なんとかしてお父さんからあんたに電話させるから、
説得してくれる?私がなんか言っても逆効果だから。
あ、お母さんから電話があったってことは内緒にしてね」
と母から頼まれ、
言われなくたってそんなとこに金使うなんて止めたるわいっと、
私は鼻息荒く答えたのだった。
ほどなくして掛かってきた父からの電話で詳しいことを聞いた私は、
ますますその出版社に疑惑を抱いた。
まず、249万という金額が高すぎる。
どんな立派な本を作ってくれるつもりかしらんが、
印刷・製本代だけなら100万円もあればお釣りが来る。
そんななのに、相場を知らない素人だと思って
「広告はすべて我が社の負担で行います!」
とか恩着せがましく言ってるってのも気に入らない。
「テレビにご出演いただくことも…」なんてのはウソに決まっている。
素人がそんなほいほいテレビに出て宣伝ができたら苦労はしないのだ。
さらに、
「取次を通すと書店に置いてもらえないこともあるので、
我が社の契約書店に…」
というのも怪しすぎる。
私が以前に父に「インターネットでなんとか売れないか」とか聞かれて
調べたときにわかったのは、
取次を通してない本はネットで売るのも難しい、ということだったのだ。
要するに、取次を通さないということは、
全国に流通させることができない、ということなのだ。
仮に九州に住んでいる人が、父の本のことをなにかで知って、
近所の本屋さんに取り寄せてもらおうとしても、
取次を通してないと、取り寄せてもらえない。たぶん。
その編集者さんは「我が社の300にも上る契約書店で」とかいう
言い方をしたみたいだが、
「全国で300店舗」って、笑っちゃう数だろうがよっ。
そんな店、どこにあるのかもわかんないじゃないかっ!
さらにさらに、印税契約。
それも売れた分の2%!?
ふ・ざ・け・ん・なっっ
249万も出させて、たったの2%の印税、それも売れた分だけ?
しかーし、ど素人のじいさんには
「印税」という言葉は、魔法の言葉だったようだ。
「印税を払ってくれるんだってよ~」
と、嬉しそうな電話の向こうの父の声に気が遠くなりそうだった。
仮に1000円の本だとして印税20円。
初版1000部が完売しても2万円ぽっちですよっ!249万円も出して!!
「それおかしいって!」必死の説得にかかる私に、父は
「でも増刷がかかればそのたびに印税は
5%、8%って上がっていくって。
それに増刷分は向こうが金を出して印刷してくれるって…」
まだ騙されてるし。
(増刷なんてかかるわけないでしょう~!)とは、
さすがに不憫で言えない私は、
「いくら印税だって2%は少なすぎるから」
「249万もかけなくても本は作れるんだから、
向こうはそこから儲けも出すつもりでいるに違いないから」
「普通の名の売れた作家さんだって1000部売るのって、
本当に大変なんだから」
と、言葉を尽くして説得に当たりましたよ。
「そんなインチキに249万も払うなら私によこせー!」←心の叫び。
1時間近くの説得の結果、
「やっぱり249万は高いかのう~」
という父の言葉を引き出すことにやっと成功しました。
でも印税にまだ未練がある様子の父。
すごいね、魔法の言葉印税。
私も素人を騙すときは覚えておこう。印税。
そうして、あと一押しでその出版社からの話はあきらめそうだ、
という父に、
私はつい余計な一言を言ってしまったのだった。
つづく
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