11月4日の第十七回文学フリマで頒布する
「Horror Nights/Horror Lights」

昨日、著者の川口晴美さんと
【稀人舎通信】同人の山口恵さんが
うち(稀人舎)に来てくれて、
折って重ねて止めて…の作業をし、
制作終了いたしました。

↓表紙

川口晴美コピー詩集表紙

中のページは4種類の色の紙に
草っぽいイメージの地紋を入れたカラープリントで、
↓こんな感じ。

コピー詩集中ページ

薄茶、ピンク、ブルー、ベージュと、
それぞれ10部ずつあります。
ご購入いただく時に、
お客さんに好きな色を選んでもらうようにします。
早い者勝ちですから、
お好きな色が欲しいという方は、
早めにおいでいただいたほうがいいかも。

ピンク、ブルー、ベージュの紙は、
コミック雑誌用更紙というやつで、
ちょっとふわっとした手触りです。
触って気持ちいい。
薄茶の紙は、いわゆるクラフト紙。
更紙に比べてツルッとしてますが、
ちょっと濃い目の色にしてみたら、
地紋に入れたグリーンの色がいい感じにくすんで、
美しいです。

中身は全部同じ。
印刷されている紙だけが4種類ということです。
表紙も全部同じ。カラーレーザープリンタ用の光沢紙に、
カラープリントです。
表紙合わせて36ページ。
横位置のB6版。
600円です。

↓こちらの情報もぜひ。
文学フリマ公式Webカタログ


先日「世界一美しい本を作る男」という
ドキュメンタリー映画を観てきました。
ドイツのシュタイデルという小さな出版社。
出版社というか印刷屋さんでもあるその会社は、
ゲルハルト・シュタイデルという人がほぼひとりで、
編集・デザイン・印刷・製本までをやっている。
中身の構成、本の判型、形、レイアウト、
紙やインクの種類、印刷方法……
本を作る上で必要なあらゆることにこだわって、
「モノ」としての本をひとつひとつ丁寧に作ってますよ、
というお話でした。

私は、これをボロボロ泣きながら観ました。
うらやましくて。

そういう本作りができることが
うらやましいのではなくて、
やっていること、考えていることが同じだったから。
同じなのに、ゲルハルトさんはこうして注目され、
私のような商業デザイナーは、
紙やインクや印刷方法にこだわりがなく、
妥協ばかりしていて、
人々が持っていたいと思うような本を作っていない、
だから、今の出版はダメなんだ……
と貶められたような気がして
悔しくて。

本を作っているデザイナーならたぶん誰でも、
ゲルハルトさんがこだわっていると紹介されたことは、
いつだって、なんの仕事でだって考えている。
紙はコートがいいかマットがいいか何グラムの厚さか、
インクの種類は色は匂いは、
オフセットかオンデマンドか活版印刷か、
4色か2色かプロセスカラーか特色か、
判型はA4かB5かAB版か変形か、
ページ数は綴じ方はカバーはオビは栞は花布は……
ひとつの本でいろんな可能性やいろんな方法を考え、
そして、そこからデザインを考える。

でも、いかんせん、今私がやっているような
ムック本や雑誌の仕事では、
紙やインクや印刷方法というコストに関わる部分のことは
私のような末端のデザイナーに決定権はなく、
私の手元に来る前に様々なことがすでに決まっている。
そういう流れの中でいただいているお仕事なのだから、
その中で最大限よい本になるよう、
私は自分のできることをやるだけだ。
だから、何も言わずにデザイン・レイアウトをする。
それを妥協だとか、儲け主義に毒されているとか
そんなふうに言われて、
こだわることができる環境にいる人のことを
ことさらに「素晴らしい!」と持ち上げて、
なにも言わない世界の大多数のデザイナー達は
「ダメだ」と思われるのではないかと、
そんなふうに感じられて、
「世界一美しい本を作る男」を見ながら、
私はボロ泣きしたのだ。

私だって同じです。
まったく同じことを考えて本を作ってます。


そして、おそらく世界中のほとんどのデザイナーは、
みんなそう。
本を作るときは、みんな、
紙、インク、判型、印刷方法を考えている。
考えながらデザインしている。
自分の意見が通らない部分をどうにかして、
デザイン処理で思い描くものに近付けられないか、
版面を工夫し、地紋を考え、フォントを選んでいる。
本当は色校は本紙校正を取り、
思い通りの色になるまで何度もやり直してほしい。
でも、そんなことはコストや納期が決まっている
仕事では無理な話だから、
自分が思った色や質感が一発で出るような
処理やデザインを工夫する。
そのためのノウハウを蓄積して実行している。
思い通りにいかないことも多くて、
というか、思い通りに行かないことのほうが多くて、
自分の能力不足に、まわりとの意見の相違に
悔しい思いをしたりするのだけれども。
でも。
そういうことを、あの映画を観たどれだけの人が
わかってくれるだろうか。
おそらくわかってはもらえないだろうなと思って、
泣けた。


今回の文学フリマで売る、川口晴美さんのコピー詩集
「Horror Nights/Horror Lights」は、
川口さんから、今までの詩集には未収録で、
この先も詩集としてまとめる予定のない詩を見せてもらい、
その中から「ホラー」という切り口で私が選び、
川口さんと相談しつつ構成を決め、
判型や紙、デザインを考え、
今の私の環境でできるかぎりの工夫をして作ったものです。
シュタイデル社の本とは、
規模も、かけたお金も全然違いますが、
でも、これも「世界一美しい本」です。

11月4日、文学フリマ「エ-36」稀人舎ブースで、
お手に取ってご覧ください。
よろしくお願いします。


関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック