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「ジュリーのシングル曲で昭和女性史」を考えてみよう、
という無謀なことをやっております。
どこまで続くかわかりませんが、
途切れ途切れにでもやっていこうかと思います。
カテゴリは【ジュリーシングル曲で昭和女性史】
できれば、最初から順番に読んでいただけると嬉しいです。




「許されない愛」「あなただけでいい」「死んでもいい」
3曲まとめての記事・その2からの続きです。


ところで、「天の夕顔」を今回ぱらぱらと読み返していて、
「でも男の方は何でも好きなことがおできになりますから……」
というヒロインの台詞を見つけ、
あれ、これ同じような歌詞がジュリーの曲にもあったな、
この不倫三部作のB面だったりしたらドンピシャじゃん、
と思って調べたら、
「男の人は自由に生きられうらやましいわと口癖なのに」
というフレーズが入っている「若き日の手紙」は、
なんと1977年の「勝手にしやがれ」のB面でした。
30年どころか40年経っても変わらない女性像って、
どうなんですかね。
しかも、「若き日の手紙」の最後では
「無茶をしてみませんか〜〜!!!!」と、
急にジュリーがブチ切れシャウトをし始めるんですが、
「天の夕顔」でも、それを言われた「わたくし」は、
「目の前が見えなくなるほどの嚇怒に言葉も荒げて」
自分をそういうありふれた人間と思ってたのか!と叫び、
「わたくしの気持ちも知らないで」と、
必死の弁明をするんです。
そういう男の反応もどこか似ています。
なんなんですかね。
男の人は女にこういうことを言われたいんですかね。

たぶん男は、女はなにもわかっていないんだということを
言いたいんじゃないでしょうか。
自分はこんなに命までかけて「あなた」を愛しているのに、
「あなた」は「男は自由でいいわね」とかなんとか、
大人のふりをして年上の余裕らしきものを見せて、
この恋を終わらせようとしている。
そんなことで「僕」はごまかされないぞ!
「僕」は男で自由だから
「あなた」と恋愛しているんじゃないんだ!
真剣なんだー!
ということです。
そこで、
「命かけた愛」「死んでもいい」ですよ。

また「天の夕顔」の話に戻りますが、
【稀人舎通信8号】の座談会中の金井さんの解説で、
結婚式で初めて顔を見た状態が当たり前だった時代に、
好きな人と恋愛する結婚するということは、
「手が早くて困ったもんだ」みたいに軽く見られることだった、
というお話がありました。
そんなふうに恋愛自体が不真面目なものという世界観の中で、
「僕は真剣にあなたを愛しているんだ!」
ということを訴えるためには、
「命かける」「死んでもいい」というふうに言うことが
有効だったのではないでしょうか。
しかもそれを、黙っていれば女なんかよりどりみどり、
軽い恋愛を渡り歩いて遊んでてもよさそうな、
美しいジュリーがふるふるしながら言うんですよ。
効果抜群だったことと思います。
てなわけで、この「不倫三部作」は、
「死ぬ」「死ぬ」のオンパレードだったんじゃないでしょうか。

「僕」は死ぬほど真剣に「あなた」を愛しているのに、
「あなた」はそれに応えない。
ああ、ジュリーってばかわいそう!
と、ファンは身悶え、
一方、世間の男たちや大人たちから見れば、
「あなた」はジュリーのような男に死ぬほど愛されても、
「男の人は自由だから」なんて見当違いなことを言い、
その愛には応えずに「やさしい人を待つ」理想の妻であり、
自分たちに都合のいい女性像であるために、
その物語自体は安心して消費することができました。

そんなこんなの、フェミニズム的にはかなり問題がありつつも、
ちょっと古い世界観に古いタイプの女性を登場させた
「不倫三部作」は、全方位的に受け入れられヒットしました。
ジュリー自身も、
こういった物語性のある曲のほうが歌いやすかったのか、
「君をのせて」のときよりもノリノリで、
曲の中の「僕」になりきって歌ってるような気がします。

そういえば、「君をのせて」も舟と海の歌ですし、
「許されない愛」の収録アルバム「JULIE Ⅱ」のコンセプトも、
港町に流れ着いた少年と船乗り(の妻)ですが、
ここはイメージを継承したってことなんでしょうか。
ジュリーに限らず、昭和歌謡とか演歌って、
港町、船乗り(マドロス)、港の女ってのが多いですよね。
なんなの? 男のロマン? 願望?
当時は今よりもたくさん船乗りがいたわけでもないでしょうし、
そういう歌に出てくる港町ってのは、どうもイメージとして、
普通の日本の漁港とか漁村とは違います。
特にジュリーが歌うとそれは、南仏とか地中海とかそんな感じ。
完全に架空の世界です。
船乗りとそれを待つ港の女ってのは、
男の妄想込みの「絵空事」の記号だったのかもしれません。
「港町」「船乗り」という単語が出てくることで、
これは「お話」なんですよ、ということになり、
受け取るほうは映画やドラマを観るように歌を聴き、
楽しむことができる。
歌い手もその絵空事の世界を歌で演じる。
(はっ!「演歌」ってのはそういう意味か? たぶん違う)
若い男に愛される人妻ってのも同じです。
現実にはそうそうあるわけではない、
でももしかしたらあるかもしれないし、
自分もそんな状況になったらどうしよう
と妄想することはできる。
そのぐらいの絵空事な感じ。
ジュリーも、実際の恋人が年上ということ以外は、
自分とはまったくかけ離れた世界を歌うほうが、
その世界の「僕」を演じやすかったのかもしれません。
そうして、歌の世界に入り込み、その登場人物たちになりきり、
その世界を映画のように表現してみせるという、
ジュリーのボーカルスタイルができあがっていくんですね。


と、「許されない愛」「あなただけでいい」「死んでもいい」
「不倫三部作」の、私の解釈でした〜。
ああ……、もんのすごく長くなってしまった。
あれもこれも詰め込んでわけわかんない感じになりましたが、
要するに、
こんな男もこんな女も、いくら72年つったって古いよねー、
ジュリーが歌ってんじゃなかったらイヤだよねー、
ジュリーだから美しい話になるんだよねー、
っていう、そういうことです。

余談ですが、「許されない愛」はロンドンレコーディングで、
演奏も向こうのミュージシャンがやってるそうで、
ホーンセクションの「♪ぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃぴゃ〜〜〜〜」
という音階が上がっていくところを、
「もっと上げろ! もっともっと!」と、
アレンジの東海林修さんがムリを言ってさー、
白人って顔が赤くなるとほんとに真っ赤になるんだよ〜、
と、ジュリーが近年のラジオで語ってましたが、
自分のレコードの伴奏だっていうのに、
スタジオの隅っこで(たぶん)
「ほえ〜〜、真っ赤になっとるなあ」とか、
まるで他人ごとのように、
音楽と関係のないとこでおもしろがってる
23歳ジュリーを想像すると萌えますね(笑)。



で、この先は「裏」解釈でございます。

「許されない愛」が収録されているアルバム「JULIE Ⅱ」
あるストーリーに沿って作られたコンセプト・アルバムで、
そのストーリーがポエム風な文章になって
歌詞カードに書いてあるってことを前にも書きましたが、
「JULIE Ⅲ」ていうライブ・アルバムがありましてね。
そこでは「JULIE Ⅱ」の中から数曲歌ってるんですが、
その曲の前に、歌詞カードの文章を要約して朗読してるんですよ。
ああもう……。
これが、萌え以外のなにものでもないっ!

ある夜、霧深い港にひとりの少年がやってきた。どんな過去があったのか、疲れた身体を引きずるようにして少年はやってきた。
少年は、港町で暮らすようになった。船乗り相手の小さな店に勤め、日一日と青白い頬にも生気が蘇るようだった。
その店の常連に中年の船乗りがいた。少年はその船乗りと仲良くなり、心の安らぎを覚えた。彼はなにも教えてくれたわけではない。ただ、海の話と船乗りの歌を歌ってくれただけだが、少年は彼によって、男の生き方と海への憧れを教えられた。
やがてまた、船乗りが長い航海に出る朝が来た。波止場で少年は初めて船乗りの妻に会った。少年の心にざわめくものがあった。決して心を動かしてはいけない人なのに、揺らめく予感があった。
それはいつか、必ず破局へと向かうものなのに、少年はその時、まだなにも知らなかった。


とかさー。
23歳ジュリーは、はっきり言って朗読がうまいとは言い難く、
やらされてる感満載なのも萌えですが、
これ、最初に聴いたときは素で、
「僕」が心ざわめかせたのは船乗りのおっさんが好きだったから
だと、私は思いましたよっ。
だいたいね、ジュリーみたいな少年が
どこともわからない港町に流れ着いて勤めるようになった店って、
その手の店しか思い浮かびませんっ。
海の男たち相手の、良ちゃん的なアレですわね。ほほほ。
それに、このライブではアルバム曲全部を歌っているわけではなく、
「美しい予感」
「愛に死す」
「許されない愛」
「嘆きの人生」
「船出の朝」

の5曲。
これを繋げていくと以下のような物語が浮かび上がります。

どんな過去があったのかわからないけれど、
なにかに傷ついて疲れた身体を引きずって
港町に辿り着いた少年。
他に行くあてもなく、いかがわしい店で働き始める。
そんな店ではあったけれど、自分が必要とされていることで、
少年は少しずつ生気を取り戻していく。
(そんなにひどい扱いはされなかったということですかね。
 ま、ジュリーみたいな美少年ですから、大事にされたんでしょう)

そんな中で、ひときわ優しくしてくれた船乗りに
少年は心を開いていく。
船乗りは男娼をやっている少年に、
「いつまでもこんなことをやってちゃダメだ」と、
男の生き方と海への憧れを教え、
少年はいつかその船乗りと一緒に海へ出ることを夢見るようになる。
そんなころ、船乗りがまた海へ旅立つ日がきて、
港に見送りにきた船乗りの妻に会う。
船乗りに妻がいることを少年は知ってはいたのだけど、
実際に会い、その夫婦が仲良しなところを見てしまうことで、
自分の船乗りに対する本当の気持ちに気付いてしまう。
船乗りの妻は白いバラのように美しく、
それに比べて少年は過去に傷を持ち、
しかも今は身体を売って暮らす日々。
少年に優しくしてくれた船乗りだったけれども、
やはり愛し合い一緒に生きていくのはこの奥さんのような
身も心も美しい人じゃないとダメなのか、
僕にはその資格はないのか……。
でも、船乗りの涼しそうな瞳は僕を見つめていた。
少年の心はざわめく予感に震える。
なぜかそれが少年にはまぶしく、
見送りだというのに目をふせてしまい、
見送った後は奥さんがあれこれ話しかけるのにも答えず
黙って歩いた。
少年は船乗りをひとりの男として愛していた。
めぐり逢えばけして終りの来ない愛、
あなたを愛し、僕は生きる。
僕とあなたの絆は消えることはない。
この命が消えるまで、二人は結ばれ生きてゆくよ、
と、少年は今は遠くにいる船乗りに心の中で語りかける。
船乗りが帰ってきたらこの気持ちを伝えよう。
あんなに熱く僕を抱き締めて、
一緒に海へ出ようと言ってくれたあの人だもの。
きっと僕の気持ちにに応えてくれるはず。
そうしたら一緒に船に乗り、ふたりで遠くの国々をまわろう。
少年は船乗りの帰りを心待ちにしていたが、
帰ってきた船乗りはそんな少年を拒絶する。
「そんなつもりじゃなかった。
 俺は妻を愛している。俺のことは、忘れてくれ……」
ががーーーん!
あなたがそう言うなら、
忘れられないけど、忘れようあなたを。
めぐり逢う時が二人遅すぎた……。
船乗りはもう少年に会いにくることはなかった。
生まれて来なければ良かった。
この世に僕などいらない。
お願いだよ。誰でもいい。
僕をささえてよ。
と、船乗りの代わりになる男を求めて、
店で無茶な客引きをする少年。
でも、そんなことをしても簡単に忘れられるものではない。
……そうだ!
かつて船乗りと一緒に行こうと楽しく語り合った海へ
ひとりで出てみよう。
あの人が見てきたものを僕も見て、
あの人の人生をなぞって僕も生きよう。
さよなら港町、別れの時だ。
きっとあの人は僕のことなど忘れる。
この港町でのことは、
もうすべて夢、遠くの夢さ。
僕を待つのは海、青い海原だけ、
涙をふいて出かけようよ………るるるー


てな感じですかね。るるるー。
「裏」解釈も長いですね。るるるー。


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コメント
この記事へのコメント
すみません、 またまた、裏に反応してしまいますが、
私はこのアルバムを 聞いてそしてポエムを読んだときに、もう、きゅんと来ちゃいましたア。これは少年は船乗りが好き、好きすぎて、船乗りの愛するものも好きになってしまった(それが船乗りの奥さん)。 そして、奥さんと一緒に船乗りが帰ってくるのを楽しみに待っていた。でも、やっぱり罪悪感が会ったので、船乗りには合えずにさっていく。。。みたいに思ってました。 このアルバムってやっぱり BLですよねえ。
2014/10/11(Sat) 03:43 | URL  | nekorin #-[ 編集]
nekorinさま、こんにちはー
おお、nekorinさんの解釈もいいですねえ。
っていうか、「裏」でなくとも、「僕」があの奥さんのことを好きになったのは、
やっぱり大好きな船乗りの愛する人だからっていうのは絶対にありますよね。
もう、3人で楽しく暮らせばいいのにねえ。
2014/10/11(Sat) 10:09 | URL  | ゆう(管理人) #-[ 編集]
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