ジュリーのシングル曲をネタにして、
昭和の女性が負わされていた女性像を考えてみよう


という無謀なことをやっております。
どこまで続くかわかりませんが、
途切れ途切れにでもやっていこうかと思います。
カテゴリは【ジュリーの曲で考える昭和女性幻想】
できれば、最初から順番に読んでいただけると嬉しいです。




さて、再開いたしました【ジュリーの曲で考える昭和女性幻想】
「追憶」でございます。

これぞ少女漫画シリーズの決定版「追憶」

この前の「恋は邪魔もの」も少女漫画チックですが、
「恋邪魔」が↓こんなラブコメ風だとしたら、

恋邪魔少女漫画


「追憶」は↓こんなシリアス少女漫画ですよねー。

追憶少女漫画

着てるドレスは白のフリルのレースのだけど、
背景はカケアミ&ベタ多用、みたいな。

は〜、ひっさしぶりに女の子の絵、描いたわ(笑)。
描いてるうちに女の子の描き方思い出してきたよ。
子供のころはこんなんばっかし描いてたなー。
ええ、デッサンがおかしいのは仕様です。
仕様ですったら仕様です(言い訳)

この「追憶」は、
「小雨」「夜の風」「長い髪」「愛を誓う」
「瞳」「白いバラ」「占い」などなど…
シリアス少女漫画の小道具やキーワードが散りばめられてて、
もうね、
古い洋館、天井までの大きな窓、そこに下がる重厚なカーテン、
バルコニー、猫足のソファやテーブル、暖炉、
シンプルだけどギャザーやフリルいっぱいのロングドレス、
ツヤツヤサラサラのロングヘア、もちろん金髪……。
だって「ニーナ!」だもの!
天井の高い洋間の古いソファに座って、
スタンドだけの灯りで本(当然洋書ですよっ)を読みながら、
でも内容は頭に入らず、時計を気にしてばかりのニーナとか、
小雨に肩を湿らせてやってきた「僕」に、
何も聞かずに抱きついてそのままベッドイン(!)とか、
急に髪を切って妙に明るい笑顔で
「僕」を出迎えて驚かせ、「どうしたの?」と聞くと、
「あなたは短い髪のひとがお好きなんじゃないかと思って」
なーんて言ってみたりとか、
イッちゃった目をしてバラの花びら散らすとか、
とかとかとか、
もうコマ割りから背景まで目に浮かぶようですね。
てか、こんな漫画読んだことある。絶対ある。
やっぱ一条ゆかりかなあ。
私の頭の中では「デザイナー」と「砂の城」がぐるぐるしてます。
あんな絵柄で、ひたすら美麗な場面がてんこ盛りな、
ちょーっと大人な雰囲気の少女漫画ですよ。

70年代は「少女」漫画と言っても、
シリアスものだと結構大人っぽい展開もあって、
小学生の私はどきどきしながら読んだものでした。
ぽわわんとごまかしてはあったけど、
それなりにベッドシーンも描かれていて、
キスのその先ってのがあるんだなあってことを
そんな漫画で学んだりもしていたわけです(笑)。
あ〜、でも、
ベッドシーンまで描くのはシリアスものだけだったと思うし、
しかも、両思いの幸せなベッドシーンてのはなかったような。
道ならぬ恋に堕ちていくふたり、とか、
本当に好きな人とは結ばれず、
不本意な相手とヤッちゃうとか、そんな展開(ひでえ)。
なんでなんですかね。
あれで、セックスっつうものに
マイナスのイメージを植え付けられた人も
いるんじゃないでしょうかね……。
70年代の少女漫画では、
カップル成立→結婚っていうハッピーエンドも結構あって、
結婚したらセックスはするんだろうけど、そこは省略。
最後にふたりがキスしてる大ゴマで終わりで、
あとはご想像にお任せ?
いや……、その先のベッドの中のことは
誰も想像すらしなかったんじゃないですかね。
後日談があっても、いきなり赤ちゃん抱っこしてたりなー。
う〜〜ん……、
【70年代少女漫画ではセックスがネガティブに扱われる問題】
ここでやってると話が逸れたまま長くなるので、
そのうちどこかでがっつり語りたいと思いますが。

なーんとなく「こんな理由だろうなあ」ってのはあります。
要するに、主に男性側である世間様が、
女、特に「少女」と呼ばれるような年齢の女には、
セックスをいいものとして考えてほしくないと、
そんなふうに思っていたってことなんでしょう。
よく考えると不思議な話ですけどね。
少女は成長したら結婚して子供を産んで母親になる、
というのが、世間様の求める真っ当な女の道だったはず。
母親になるにはセックスしなきゃならないわけで、
それがネガティブなものと刷り込まれていたら、
母親になるのも嫌だと思っちゃうかもしれないし、
大人になったかつての少女とヤりたい男どもにとっても
不都合なんじゃないですか?
それともいやがってる女とヤるのがいいとか?
変態ですか?
まあ、女に貞節とか貞淑とかを求めていた
男どもや大人たちにしてみれば、
女がセックスのことを考えること自体が許せないっていう、
そういう世界だったんだろうなあと思いますが、
一方の少年漫画が当時どうだったかというと、
「ハレンチ学園」やら「けっこう仮面」やら
お色気バンザイだったわけで、
どうしても不均衡なものを感じますね(怒)。
そう考えると、90年代以降に問題になった、
セックス描写ありの少女漫画は、
「好きな人と結ばれて嬉しい! 気持ちいい!」
てなふうにセックスを肯定的に描いていて、
そうすることのリスクもちゃんと教えれば、
それはいいことなんじゃないかと思うんですよ。
でも、そういう漫画が問題視されたってことは、
世間様はまだまだ70年代のころの大人たちと
同じってことなんでしょうか。はあ……。

と、70年代少女漫画はそんな有り様だったわけですが、
歌謡曲の世界も似たようなものだった気がします。
「追憶」がリリースされた1974年のシングル売り上げ枚数1位は
「なみだの操」ですからね。
「なみだ」ですよ! 「操」が!
フィンガー5とか新御三家とか百恵ちゃんとかも出てきて、
若者が主人公の明るい恋の歌もヒットしましたけど、
どうも、身体の関係がほのめかされた途端、
その世界は急に薄暗くなるような気がします。
しかも、暗くなるのは女のほう。
百恵ちゃんの「ひと夏の経験」とかね。
「汚れてもいい泣いてもいい」とかさー。
汚れるんですかそうですか。
男がセックスしたからって「汚れた」とか言いませんよね?
んでもって、ジュリーを含めたもっと大人な歌手が歌うのは、
だいたいが別れの歌でしたしね。
しかも演歌だと、出てくる「女」はいわゆる商売女(?)。
どうもカタギのお嬢さんや奥様ではないみたいです。
で、それを「私はこんな女だから…」的に歌い上げてたり。
ああもう!
「追憶」でも、
「抱きあったお前の肌」「素顔がきれいだ」ってことは、
「僕」とニーナはそういう関係なんでしょうが、
のっけから「ひとり待つニーナ」だし、
「何も聞かず」ってことは、
本当は聞きたいことがあるんだろうし、
「夜の風を怖がっ」てるし、
嫌な予感しかしないなーと聴いてると、
案の定「もし今なら お前を二度とは悲しませない」って。
てことは、悲しませたんですね!
てな結末なんですよ。
なにがあったんだ! ニーナ!

しかしね、これを歌ってるのは26歳美麗若ジュリー。
あの甘い声で、
「二度とは悲しませない」とか、
「二度とは離さない」とか、
「忘れられない」とか言われたらねえ……。
しかも、「オ〜、ニーナ〜」なんつう囁き(!)付きですよ!
聴いてるこっちは「ああ、ニーナになりたい」って
身悶えるしかないじゃないですか。
なので、私はずっと、この曲は、
「僕」は真剣にニーナを愛してるのに、
ヤンデレ気質のニーナが勝手に思い詰めて、
勝手に甘く崩れて泣いて悲しんで死んでしまった……
てな話かと思ってたんですよ。
ぼんやりぽわわ〜〜んと聴いてたときは。
「僕」はどっちかってえと被害者っていうか、
そんな立ち場なのかなあって。
こんなに真剣に愛していたのに、
ニーナには僕の愛は届かなかった。
僕の愛し方が足りなかったのか、
愛し方が間違っていたのか……。
もう一度チャンスをもらえたら、
今度はちゃんと届くように愛するよ。
二度と悲しませないよ……オー!ニーナ〜!
てな感じに後悔してるかわいい「僕」なんだろうなあと。
なんてったって、歌ってるのがあのジュリー!ですからね。

しかしですね、
今回この記事を書くにあたって、
歌詞カードを見ながら、そのシチュエーションを追いながら、
じっくりと曲を聴いてみると、
ちょーっと違った状況が浮かび上がってきました。

というわけで、ここより深読みコーナーです。

まずですね、
「小雨降れば ひとり待つ ニーナ!」
(どうでもいいですが、歌詞カードでは
 「ニーナ」のあとに必ず「!」が付いてるんですが、
 これってなんでなんでしょうか。「!」含めて名前なのか?)
「小雨降れば」ってのがよくわからないんですが、
「僕」は雨が降ると「ニーナ!」のとこに来るんですかね?
「雨の慕情」(八代亜紀)ですか?
まあ、憂いっぽいシチュってことで、
そんな暗い寂しい日に「ニーナ!」は「ひとり」で
「僕」を待ってるんですよ。
恋人(だよね?)をひとりで待たせて
一体「僕」はどこ行ってんでしょうか。
それを「ニーナ!」も聞きたいんでしょうが、
「何も聞かず 読みかけの本を捨てて抱きあ」うんですよね。
んで、そのままベッドインなんでしょうが、
「素顔がきれいだ」とか言われても、
「夜の風を怖がった ニーナ!」の「気持ちは甘く崩れ」
泣いちゃうんですよ。
たぶん「僕」も「ニーナ!」がなにか疑ってて、
「僕」に聞きたいことがあるってことは薄々わかっていて、
でも聞いてこないのをいいことに、
ヤッちゃってうやむやに……てな感じでしょうか?
「僕」には隠しごとがあるっぽいです。うわー。
で、それはどんな隠しごとかつったら、
2コーラス目の歌詞、
「僕に愛を誓うその為に」「長い髪を切ってきたニーナ!」の
「思い詰めた」「瞳」が「胸に突き刺さ」ってますからね。
これは、やっぱ浮気でしょうな! 浮気!
サビのとこでは「許して」って言ってますからね。
「僕」は「ニーナ!」に許されないことをしでかしたってことでしょう。
うわー。
さらに、
愛を誓うために髪を切ってもなんだかビミョウな態度の「僕」に、
「愛の明日」を信じられなくなった「ニーナ!」は、
「白いバラの花びらを散らし」、
いちまーいにまーい…じゃなかった「好き」「嫌い」と占うんですが、
「僕」はそれを「無理に止めさせ」ます。
なんで「無理に止めさせ」たかつったら、
その占いが当たっちゃう、要するに「嫌い」と出ることが、
「僕」は怖かったんですよね。小心者め!
んでもって、「そんな占いよりも僕を信じろよ」と、
目を見つめたりなんかしてるわけです。
うわー、嘘つきー。
そんなん言われて一旦は「僕」を信じた「ニーナ!」ですが、
この歌詞の中では描かれていない、
なにか決定的なことが起こって、
「ニーナ!」は「僕」の元から去ってしまいます。
いや……、シリアス少女漫画的世界観で言ったら、
ここは単に別れるんじゃなくて、
やっぱ「ニーナ!」は死んでしまったとするのが正解でしょう。
どういうプロフィールの女性なのかはわからないですが、
この歌詞の中で見るかぎり、
「ニーナ!」は「僕」しか見えてません。
「僕」と別れて新しい生活をする「ニーナ!」ってのは、
ちょっと考えにくいです。
そういう意味で言ったら確かにヤンデレなんですが、
そのヤンデレの原因は「僕」にあったんですよ!
だからこそ「僕」は激しい後悔に苛まれ、
「許して 尽くして 側にいて」と懇願し、
「忘れられない」「二度とは悲しませない」「二度とは離さない」と、
「オーオーオー! ニーナ〜〜〜!」と絶叫してるわけです。
もう二度とやり直せないからこその
「ニーナ〜〜〜!」なんでですよっっ!(ドン!

……ぜえぜえ。
以上深読みコーナーでした。

この、彼氏のことが好きすぎるあまりに信じられなくなり、
(信じられなくなるような事態が起こり)
その事実を受け入れられなくて、
精神を病んだあげくに死んでしまうってお話は、
70年代シリアス少女漫画の定番でしたなあ。
そんなようなのいっぱい読んだような気がします。
代表作はやっぱ一条ゆかりの「砂の城」でしょうか。
主人公のナタリーは、つらい現実から逃避し、
やっと正気に戻ったと思ったら、その途端死んじゃいますからね。
こんなんされたらフランシスはもう、
絶対にナタリーのことを忘れられないじゃないですか。
「追憶」の「僕」もきっとそんな状態ですよね。
しかも、「僕」は実際に「ニーナ!」を裏切ってたっぽいし。
浮気の相手は誰なんですかね。
やっぱ「恋は邪魔もの」で、
「昨日まで愛してた別のひと」と言ってた、
(たぶん)年上の女でしょうか。
まだ続いてたんか? ひきずるなあ。
「ニーナ!」が長い髪を切ってきたのだって、アレですよね。
「僕」が短い髪の女と楽しそうにしているところを
偶然街で見かけちゃったとかさー、
そんなことだよ、きっと。
物陰からじとっと、陽の光の中のふたりを見ている「ニーナ!」。
んで、その女と同じ髪型にして、
「あなたの好みに合わせたの」とか、
思い詰めた目をして言ったりさー。
これは怖い。
浮気してる「僕」はそりゃあ、突き刺さったでしょうなあ。
いつでも「許して尽くして側にいて」くれた「ニーナ!」なのに、
それを裏切って「僕」には他に想う女がいる。
しかも、たぶんその女と「僕」には、
大っぴらに付き合うことができない事情があって、
世間にももちろん「ニーナ!」にも秘密の関係。
「ニーナ!」もなにか感づいているのはわかっているけど、
それを言うわけにはいかない。
「僕」は障害のない「ニーナ!」の愛に応えて、
平穏な生活をしようと思ったのかもしれないけど、
思いのほか重たい「ニーナ!」の愛から逃避したい気持ちもあって、
また昔の女に会いに行ってしまう……。
うわーん、ひでえよ。ひでえ男だー。
ジュリーの甘ったるい歌声に騙されてたよ。


と、ジュリーに騙されてた(?)ところで、
「その2」に続きます。

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コメント
この記事へのコメント
祝 再開
うーん、今回も素晴らしかった(←ボキャ貧)
2015/01/13(Tue) 16:57 | URL  | ちー坊 #W6I3GLGE[ 編集]
ちー坊さま、こんばんはー
お読みくださって、ありがとうございます。
またゆっくりやっていこうと思います。
よろしくお願いします。
2015/01/13(Tue) 20:00 | URL  | ゆう(管理人) #-[ 編集]
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